生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ30)

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その時自分の口から不意に出た

言葉にこれまでの思考は遮られた。

『う〜ん……で、何で音信不通だったの？』

「うわ、せっかく話逸らしたのに〜」

『気になっちゃって……』

ははっ！と勢いよく笑った阿部くんに少しびっくりする。

今更ながら思えば彼はあまり笑わないのかもしれない。

「ごめんね、理由は佐久間との秘密に関わってくるから
話せないかな。でも、1つ言えるなら…
本気で死にたくなって、ね。」

一点を見つめる瞳に光はない。

掛ける言葉も見つけることができなかった。

秘密交換をした三角関係。

佐久間くん曰く親密な関係。

気が付けばケロッとしてスマホを取り出し、

何やらメッセージを打ち始めた。

そんな阿部くんを見つめていた。

この切り替えの速さが少し怖い。

私の適当な感覚だけれど、

放つオーラに嫌な予感を感じていた。

別に超能力者でも占い師でもないけれど、

彼がいなくなってしまう気がした。

さっきの問題だって、ただ出した訳ではないはず。
遮ったのは私だけど。

蝉が1週間だけ精一杯生命を全うして死んでいくように、

ある日突然いなくなっ

て、何も聞こえなくなってしまう。そんな感じ。

でもプログラムが正常なら

彼は死にたいと嘆きながら生きるのだろう。

勿論その未来に私は……