無色の子 【呪術廻戦】弐

伍拾壱 ページ12

双子と判明してから数日後、今日は早朝から五条悟の機嫌が頗る良い。

というのも今日は五条は合同任務である。

更に相手は伏黒Aである。

入学したての嫌がっていた様子からは考えられない。

自身の妹であり、殺害を躊躇われる程の呪力量、そして何より入学当初から特級術師の称号を手に入れているAの実力がずっと気になっていたのだろう。


一方Aはうつらうつらとしていた。

早朝に五条に叩き起こされたようなものだ。

特級はただでさえ任務が多く寝不足なので眠たくて仕方がないのだ。


二人は準備をすると補助監督の待つ場所へ歩いていった。

補助監督に挨拶をして車に乗り込むと五条が口を開いた。

「なあA、眠いか？」

ウトウトとしているA。

「…うん。

寝そう…。」

その様子が可愛いと思ったのかAの頭を撫でる五条。

「寝てろ。」

「…うん。

ちゃんと起こしてね、にい…。」


その言葉を聞くとスイッチが切れたようにAは眠り始めた。

車の揺れで五条の肩にAの頭が乗った。

肩というより腕だが。

そして五条がもう一度Aの頭を撫でると自身も眠りについた。

その表情は非常に穏やかであり、彼らは正しく兄妹であった。

補助監督は普段の五条悟とこの五条悟が本当に同一人物なのか、と驚いていた。

後に五条悟と伏黒Aは当たり任務と補助監督達の間で話題になったのはまた別の話。




補助監督が現場にもうすぐ着くという旨を伝えると五条は優しくAに声をかけた。

「A、起きて。」

「…まだ。」

五条はAの頭を撫でている。

「もう着くぞ。」

「…ねむい。

あと１時間…。」


まだ寝たいと言わんばかりに撫でている手に擦り寄るA。


「…起きろ。」


「ムリ…ｸﾞｳ。」

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