episode 5 ページ6
私は少しは容姿に自信がある。
何より何人もの女性をうまく翻弄してきた。
大概女性は私を見ると色仕掛けを仕掛けてくるのにも関わらず、この女は何もしてこない。
それより、たかが人間違いで怒った?
その微妙な変化をこのバーの店長が知るとは。
気に食わなかったのかもしれない、彼女に«私»が通じなかったことが。
若干したから彼女を見つめる。
彼女は私の瞳を一瞬捉えると、すぐに目を逸らした。
__やっぱり。
____大概の女性は上目遣いで堕ちる。
私は少しだけ唇のはしを持ち上げた。
「悪いけど、あなたこそ名前は?」
そっぽを向かれて返ってきた彼女の返答は、私の予想の斜め上を通過した。
「は?」
「いや、は?じゃなくて。」
「私のことを知らないのか?」
__太宰治を知らない?
_なんなんだこの女性は!
大概の女性は、私の姿を見れば名前など名乗らなくても向こうが知っていてくれる。
先程も話したとおり、最年少幹部の通り名は凄まじいからだ。
知らない人などいないのでは、なんて勝手に思い込んでいたけれども。
「___太宰治、だ。」
ここにいたなんて。
「ふーん」
返しが雑っ!?
「あたしはA。」
短く返ってきた返答に、私は落ち着いて肩で息をした。
この女性は__Aに、«大概»などといった普通の概念は通用しない。
私の名前を知らない時点で、マフィア関係の人間ではない、いやもしかしたら、知らないふりをしているのか?
いや、知らないフリもないな、もし知らないフリなのだとしたら、少しくらいの動揺が起きる。
それすらも隠せる人間なのだとしたら?
私を狙っている、殺し屋だとしたら?
ここまで考えが至ったところで、「まぁいいや」という短い言葉が聞こえてきた。
「あなた、太宰治さんって言うんでしたっけ。」
「人のこと、調べるのやめてもらえませんか」
「は?」
え、読心術でも使えるのですかあなたは。
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紅蒼(プロフ) - 面白いです!更新を気長に待っています! (2018年9月8日 23時) (レス) id: f70065e07d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あや抹茶 | 作成日時:2018年8月4日 23時