【募集企画】仮想世界戦争【#コンパス】 (ページ8)

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5.ゲーマー少年のスタートページ8

1人のヘッドフォンを付けた青年が、コントローラーを両手に、テレビと向き合っている。素早いテクニックでラスボスを倒すと、画面内で花火が上がり、エンディングが流れる。

「……ゲームクリアか……」

普通なら、エンディングに辿り着いたら誰だって喜ぶとこだろう。でも、俺は喜ぶ事なんて出来なかった。俺はゲームのエンディングが嫌いだ。壮大な大冒険が終わってしまい、現実に引き戻されてしまうからだ。

「……他のゲームも、全クリしちゃったしなぁ……」

テレビの周りには山積みのゲームカセット。恐らく百は行ってるだろう。RPGや格ゲー、主にそれをやっているが、全てクリアしてしまったから、もう飽きてしまっていた。

「はぁ……つまんねぇ……」

コントローラーを床に置き、自分のベッドへと倒れこむ。

「……いや、つまんねぇのは俺か……」

俺は毎日毎日、ゲームに入り浸っている。ゲームが好きなのもあるけど、そんな単純な理由じゃない。こんな大嫌いな現実から逃げるためだ。

「……俺も、ゲームのヒーローみたいに強くなれたら……」

ゲームの主人公は毎回決まってハッピーエンドを迎える。ある者は囚われた姫を救ってその姫と結ばれたり、ある者は魔王を倒して世界を救った英雄と称えられたり、ゲームの中の主人公達はみんながみんな、幸せなエンディングを迎えている。俺もヒーローだったら……きっと、あんなバッドエンドを迎えずに……

「っ……！くそっ……思い出したくねぇのに……」

不快そうな表情をしながら、枕元にあったスマホを掴んで起動させる。

ゲームの中でも、俺はコンパスが大好きだ。エンディングもなく、他の人と戦えて、コンパスでの俺は、理想の俺になれる。十文字アタリという、ゲームが好きで、とっても強くて、ヒーローみたいにかっこいい、理想の人物にーー

「……ん？メール……？」

1通のメールが届いてることに気づき、何なのかと思い、そのメールを開く。そこには、『タスケテクダサイ』という文章と、ラウンジへと番号が書かれていた。

「なんだよ……これ……」

本当ならこんな怪しいメールは見逃すべきだろう。だが、それよりも好奇心が勝ってしまい、俺はコンパスを起動させ、示されたラウンジへと向かった。

今起こってることも、これから起こることも、何も知らないまま。