#_46 ページ46
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松倉 side
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いつも通りの朝。いつも通りの職場。いつも通りの病院。
昼頃に退勤して、病院へ向かい今日も眠った元太を横目に携帯をいじる。カメラから移行した写真を眺めて、少し笑う。だって、元太半目なんだもん。めっちゃ笑ってるし。笑
喉が渇いたからと売店へ向かうと、聞きなれた名前を言う声が聞こえてフロントへと出向く。そこには女の子がいて、 松田元太の友達です と言っている。元太にこんな友達いたっけ？
『あの、元太の友達ですか？』
「はい、夏に元太くんと仲良くなったAです。」
『...あ、Aさん。聞いたことある。元太の病室あっちですよ』
病室へ案内すると元太が珍しく目を開けてボーッと天井を見ていた。俺が来たのかと思ってみて、Aさんがいたからか、かなり驚いた様子。
「なんで、A、なんで」
「...元太くんのバカ」
「...ごめん、でも、もう」
「....やっと逢えたね」
「A、に、ずっと、会いたかった、」
Aさんがギュッと抱きしめるとふんわりと笑う。幸せそうな顔をした元太は離れてから涙を1粒流した。
「A、海斗、ありが、とう......」
『元太？元太！！おい、元太！』
「元太くん.....？」
突然スーッと眠りにつく元太。異変を知らせるサイレン。
聞きつけた医者が俺らを部屋の外へとだす。黙り込む俺と涙が止まらないAさん。元太ママが来て、元太が亡くなったことが伝えられた。本当に突然で、あまりにも呆気ない最後に何も感じることが出来ない。涙すら出てこない。その場に立ちつくしたまま、何も言葉を発せない。気づけば泣き崩れるAさんの肩を抱いていた。元太が最後に愛した彼女を見過ごす訳には行かなかった。
しばらくして、元太の病室へと案内された。酸素チューブも、点滴も何もかも外された元太。まだ寝てるだけなんじゃないかと手を握ると、既にその手は冷えきっていた。俺まだ元太とやりたいこと沢山あるんだよ。行きたい所だってまだまだ沢山あるんだよ。置いてかれちゃ困るよ。俺の親友だろ？
元太から返事が返ってくることは無かった。ありがとう。最後にその言葉を残して去っていった元太。最期の最後まで、良い奴だったと意図しない涙がとめどなく溢れて行く。
俺元太と幼馴染になれて本当に良かった。幸せだったよ。もう十分頑張ったんだから、天国くらい自分に優しく過ごせよ。ありがとう。本当に、本当に。
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作者名：夕 | 作成日時：2021年7月1日 21時
