閑話休題 ページ8
“閑話休題”→誰かの心の中のお話
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「ほな、私らは京都帰りますね」
「結構楽しかったからまた来てよ、Aは任務で来られるっしょ?」
「……ま、ウチの子の様子も気になりようから、ちょこちょこ顔出すつもりやけど。」
悠仁くんのことも気になるしな、とAは訝しげな顔をして顎に手をやった。
そうやって悩むその顔は双子の兄と瓜二つで、双子って凄いなと思わず感心してしまう。
時々、未来がわかっているかのような行動をすることがある。例を言えば禪院甚爾襲撃の時、普通なら俺と甚爾の間に入るなんてこと出来るはずないのに、まるで甚爾が来るのを知っていたかのように俺を庇った。
次に傑の件、正直これは助かったけど普通なら傑の様子に気づくことなんか出来ないし、傑の任務が馬鹿みたいにキツい任務だなんて知らなかったはずだ。
それを身代わりになって任務に行って、自らが謹慎になるなんて。そんな馬鹿なことをあの賢い幼なじみがやるわけない。
「A」
「ん?」
「…なんかあんなら、教えろよ。俺ら、幼馴染じゃん」
「!…当たり前やろ、悟くんのこと、直くんの次に信用しとるんやから」
最強、俺に与えられたその称号を信用しているのか、それとも俺という人間を信用しているのか。そんなこと聞くのは野暮な気がして口を噤んだ。
思わず俺が呼び止めてしまったせいで、Aが京都校の連中においていかれそうになっている。
「ウチは悟くんを信用しとるんや、
「!!」
「ほなね、また連絡するわ」
思わず俺と言ってしまったのに気づいたのだろうか、Aはいつも俺の動揺に気づくと心底優しい顔で笑う。
一つ下だ、後輩だと言うのに、心を委ねてしまいたくなるその包容力。俺は前にも、その胸に顔を埋めて、めいいっぱい泣いた気がする。
「……うん」
もうAの袖を引くのはやめた。きっとAは俺を信じている、俺もあいつを信じている。直哉の次だなんて、あいつの二番目ってことだろ?甚爾にも傑にも、恵にも譲れない場所だ。
俺にはたったそれだけ、ただそれだけで十分だと思うから。
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バナナプリン - めちゃくちゃ好きです…やばい動悸が…。直哉絡みなのもいいしキャラとの絡みがいちいち尊い✨🍌更新ありがとうございます!影で応援してます!🍮 (12月9日 18時) (レス) id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Strawberry | 作成日時:2023年12月6日 1時