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「もう聞きたいことは無いの？」
「…そうだな…特にはねぇか…」
Aはきょとんとジャンを見つめながらもきちんとジークの体を揺らし、泣き出してしまわないようにと気を引きしめる。するとジークは揺られたせいかAの腕の中が安心してしまうせいか瞼を落とし始める
「赤ん坊にしては随分といい子だな」
「そうなのよね、元々聞き分けのいい子だったみたい」
Aは目を伏せながらジークの頭を撫で、幸せそうに笑った。ジャンはそんなAに目を見開き、そしてクスッと笑ってしまう
「……なによ」
「いや…随分と母親らしい顔だなと思ったんだよ」
「…わるい？」
「いいや、いい女になったってことさ」
そう言ってジャンが肩を竦め、Aは眉間に寄せていたしわを緩めさせていつものように笑って見せた。
恋愛的好き嫌いは関係なしにAはジャンと過ごすのを好んでいた、なにより会話に遠慮が要らないし昔からの友人と話しているようで気も楽だからだった
「そいつ、見せてくれてありがとよ」
「ん、ちょっと待っててくれる？」
Aはジャンにそう言って立ち上がり、ジークを寝室へともどした。それにしてもよく寝る子だな、とAは最後にジークの頭を一撫でしてから寝室を後にした。
「お待たせ…ていうか引き止めておいてだけど、時間大丈夫？」
「今更かよ…あぁ、仕事なら今日から三連休だしなにより引っ越ししたてですることも無いからな」
「ならもう少し居てよ、少ししたらライナーも来るだろうから」
「…お前、いい性格してるよな」
「二人のことは知ってるよ、でもそれは昔の話でしょ？ジークだってそう…もうあのジーク・イェーガーは死んだ。一度死んだ人間なの。今生まれてきたあの子に罪はないわ」
Aが飲み終わったマグカップを片付けながらそういい、ジャンは少しだけ驚いたような顔をしてからふっ、と砕けたように笑い「そういうとこの話だ」と言った
「やっぱりAらしいぜ、…きっとその言葉に救われるやつが五万といるさ
…俺もそうだ、きっとライナーもそういうとこに惹かれたんだな」
「そぉ？ライナーは元々前世のことは気にしてなかったわよ。今元気だし
…あ、でも記憶が戻る前の…20歳くらいの頃に1回マーレにいた頃みたいになって…その会社は辞めさせたんだけどね。なんであぁもブラックにぶつかりやすいのかしら」
「あのやつれてた頃の？もう想像できねぇな…お前と結婚してからのライナーは凄かったし」
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作者名：ふりこ | 作成日時：2022年3月3日 14時
