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そして何より目を引くのは、まあるく育ったそのお腹である。
太ったやらそんな理由では無いその膨らみに、先程までライナーを煽っていたはずの男の口がぽかんと開く。
「A、あまり1人で出歩くなと…」
「ごめんなさい、牛乳が無くなっていたから…」
「チビ助はどうした？」
「お留守番できるって張り切ってたからお願いしちゃった…そちらの方は？」
ひらりとスカートを揺らしながらライナーの傍にたち、首を傾げたAは国の最高司令官では無く、すっかり母親の顔をしていた。
ライナーがしてやったという顔で目を細めさせ、目の前で顔を青くさせた男を見つめる。
「お前に憧れているそうだ。」
「えっ、ならマーレの時の方かしら？どうも最近昔の人の顔まで覚えていられなくて…。」
「あっ、いえ。そんな……」
「身体に障る、そろそろ帰ろう。俺もちょうど帰るところだったんだ」
スマートにAの荷物を持ったライナーがAの腰にゆっくりと手を回して髪の毛に優しくキスを落とした。
Aはくすぐったそうに笑い、ありがとうと一言告げた。
「それじゃあ、また時間のある時に」
「まっ、待ってください！！！スロット司令官、何故そんな悪魔の末裔と…！！」
「…みんなは悪魔なんかじゃないわ。同じ人間よ」
Aが振り返って目を細めさせ、悲壮な顔をした男を見つめた。
その目は先程よりも随分と冷め切っていて、叫んだ己が顔を青ざめさせてしまっていた。
「ッ……」
「っわ、びっくりしたぁ…。」
Aがそのまま歩き出そうとすると、Aの視界ギリギリをトウゾクカモメが飛び、Aは少し驚いてカモメを振り返る。するとそのカモメがマーレ人であろう男の頭をつついていて、Aは思わず笑ってしまった。
「ありがとうエレン」
「エレン？」
「ミカサとジャンの所には行ったの？」
Aがカモメにそう語りかければ、Aに返事をするようにこちらを向き、今度はライナーの肩に足をつけて降り立った。
ビクッとライナーが揺れようと気にせず、カモメはAに擦り寄った。
「ふふ、そうなの？二人ともエレンのことが大好きだからね」
「えっ、コイツまじでエレンなのか？」
「……え？」
逆に違うの？とでも言いたげなAと、まじかお前と言いたげな顔のムカつくカモメにライナーは眉間に皺を寄せた。
Aの一方通行ならばまだしも、カモメのほうもAの言葉にしっかりと相槌を打っているように見える。
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作者名：ふりこ | 作成日時：2022年3月3日 14時
