浮気疑惑 ページ30
嫁のことなら余裕のあるライナーさんが書きたい
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「なぁアンタ、確かA元司令官の旦那だったよな？」
「？…そうだが、どうした？」
「あの女、この前違う男と2人きりで会ってたぞ。お前浮気されてんじゃねぇのか？」
マーレ諸国とパラディ島を繋ぐ大使として働くライナー・ブラウンには時たまこういった厄介な人間に絡まれるというこれといって必要のない特性があった。
そして大抵その話のネタはマーレの元最高司令官を勤めていた妻のA・スロット(今はブラウン性である)のことである。マーレからすれば自分たちの司令官を悪魔に取られたような気もするし、パラディ島の奴らからすればマーレの最高峰であるAが大使を務めるのが面白くないのだろう。
今回は前者のようで、その視線には棘があった。
だがまぁライナーに絡むということはAと近しい人間では無いらしい
「……それがなんだ？」
「その時のスロット司令官があまりに楽しそうでなぁ、心配しに来てやったんだよ、心配！」
「はぁ…そりゃありがたい話だな。」
ありがたいとは一ミリとて思っていなさそうな顔で頭をかいたライナー。基本的に人に対しては下からできつい言い方もせず優しいと人気のライナーだが、話題が話題のせいで正直面倒くさくなっていたのだ。
「Aは俺にベタ惚れだから要らぬお世話だがな」
「ッはぁ？」
「…だから、Aは俺に惚れてるから要らない心配だと言ったんだ。」
「ッ調子に乗るなよお前…司令官がお前なんかに本気で惚れてるわけないだろ！！」
やはりAのことを知りもしない、遠い存在の人間だったらしい。
ライナーはため息を吐いて頬をかき、どうしたものかと目線を逸らした。
確かに最初に男の言ったAが男と2人で楽しそうにしていた。というのは気になるがどうせジャンやアルミン、コニー辺りのライナーの同期たちかファルコやリヴァイとの世間話であろう。
しかしこのタイプの男はAへ妄信的なので何を言っても聞く耳を持たなかったりするのだ。
こんな時本人がいれば楽なのに、ライナーがそう思った時だった。
「ライナー？こんな所でどうしたの？」
「！す、スロット司令官…！」
鈴を転がしたような、女らしい声が聞こえた瞬間に目の前の男がそちらへと目を向けた。そして目を見開いてある一部分を見つめている。
ライナーの名を呼んだのは話題にもなっていたA本人で、ライナーとは違ってスーツではなくふわふわとしたお腹周りの緩めなワンピースを着ていた。
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作者名：ふりこ | 作成日時：2022年3月3日 14時
