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「あ、忘れてた」
そう呟いたAはハンジに先に行ってみんなとご飯を食べていてくれ。とだけ伝えるとライナー達のいる教室へと踵を返した。
そして思い切り扉を開け、キョロキョロと辺りを見渡して歩き出す。
「これクッキー、アニとベルも食べてね」
大きめのカーディガンの中から出てきたのは可愛らしく包装されたクッキーだった。ライナーはそれを割らないように慎重に受けとり、「ありがとう」と笑った。
Aはライナーの表情に拍子抜けしたように目をぱちくりとさせると、ふふっ。と笑い返す。
「一緒に帰ろうね」
「ッあぁ…！門で待っててくれ」
「ん、わかった」
そうとだけ言うと全ての用事が済んだのか、Aは今度こそ教室を出ようとする。
その時、ドアの先から「A？」という声が聞こえ、真っ先に反応したのはアニだった。
「Aだろお前、なんで1年のとこにいるんだよ」
「エレン！ほんとにここの中学だったんだ、リヴァイから話は聞いてたけどなかなか会えないからリヴァイの幻覚かと思ってたよお」
リヴァイという生徒に対する信頼ゼロの反応だが慣れているのかエレンは照れたように頬をかきながらAを見た。
「母さんが挨拶しとけってうるせえからちょうど良かったよ」
「カルラさんが？こちらこそって伝えておいてね、エレン」
「あぁ。で、なんでここにいるんだよお前」
幼なじみであるはずのライナーやベルトルト達よりも踏み込んだ口ぶりに当たりが騒然とする。
一体どういう関係か、先輩にあの口ぶりはなんなのか。
するとエレンの後ろから現れたミカサがAに少し軽く頭を下げ、「こんにちはAさん」と挨拶をした。
「ミカサまで！てことはアルミンも？どうして会えなかったのかなぁ。ライナーには会いに来てたのに」
「…ライナー？」
「え？うん、ライナー。私の彼氏だよ、言ってなかった？」
「私の彼氏」としっかり紹介されたことを喜ぶべきなのか、その瞬間ミカサとエレンから向けられたキツすぎる視線から逃げればいいのか。ライナーはその選択に迫られていた。
「…そうなのか、知らなかったぞ俺」
「私も知らない、男が出来たらうちに連れてきてと言ったはず」
「ま、まぁまぁ二人とも。ライナーとは小さい頃からの付き合いだから…。」
殺気立ち始めた同級生ふたりをどうどうと収める年上彼女に困惑の隠せないライナーは咄嗟に3人に近づき、Aの肩に手を置いた。
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作者名：ふりこ | 作成日時：2022年3月3日 14時
