◇ ページ35
·
「そっ、…そうですか…」
「ええ、あなたは嫌？」
「そんな事ないです！！…私はいま、そう聞いて安心していますから」
Adamが胸を撫でおろしてそういったのを見て、Mephistoは微笑ましげにAdamの横顔を見つめる。
こんなに素直なAdamは彼が体調を崩した時か、ベッドの上でしか見ることは出来ない。いつもは基本的にはつんつんした態度なのだ、Adamという男は。、
「んふ、ほらAdam。もうすこし寝ていましょう？」
Mephistoは手にしていたAdamとお揃いのマグカップをサイドテーブルに置き、3対の羽をしまってからベッドに潜り込んだ。顔を赤くさせて目を白黒させるAdamを面白がりながら、MephistoはAdamの体に抱きついた
「1度だけ、こうやって寝たことがありましたわね」
「…私が、泣いた日でしょうか」
「えぇ、あの時あなたはこの目からこぼれた水を涙と名付けた。わたくし、本当に感動しましたのよ」
「…忘れてください、情けない話ですよ」
Adamがそう言って塞ぎ込むような顔をするから、Mephistoはそれを慰めるために先程仕舞ったはずの羽でAdamの大きな体を包み込んだ。するとAdamは驚いたように目を見開いて、Mephistoを見下ろしている。
「今は眠りましょう？Adam」
「…明日もまた、逢いに来てくださりますか？」
「！…えぇ、わたくしはいつも貴方を思っていますわ」
ちゅ、とMephistoが少しだけ体をずらしてAdamのくちびるに己の小さな唇を重ねた。Adamは安心したように笑ってMephistoの背中に手を回し、寝息を立て始めた。
MephistoはAdamが寝たのを確認して、ふう。と息を吐いた。
「(一体いつのAdamなのかしら…わたくしを天使様、って呼んでるから結構前…？いやでも、Adamって結構気が抜けると天使様って呼ぶし…)」
悶々と考えていると、段々と眠気が襲ってくる。いくら地獄でトップ2の悪魔と言えど2度寝の欲には勝てないのだ。
そして次に目が覚めると、目の前で可愛らしく眠っていたはずのAdamがギラギラした瞳でこちらを見下ろしていた。
「ん…あだむ…？」
「アンタなんて格好で私と寝てるんだ、えぇ！？」
「えっ、やだ覚えてますの！？」
「あぁ嫌な事にな！」
Adamはそう言うと、逃がさないといいたげにMephistoの体を強く抱き締めた。嫌な予感が頭をよぎったMephistoはひくひくと口角を引き攣らせてAdamを見上げた。
「こんな無防備な格好で寝てやがるんだ、まだいけるよな？」
「………優しく、お願い致しますわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名 - ああ〜っ！！！！推しが今日も尊い〜っ！！！！貴方様の作品が私の生きる糧……、推しの供給少なすぎる中での癒しです……。 (3月16日 21時) (
レス) id: 0e669f45e3 (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - ぬこさん» そのお言葉すっごく嬉しいです〜！！皆様に楽しんで分かりやすく読んでもらえるのが一番なのでこれからも精進します！二回もコメント嬉しいですありがとうございます！ (3月6日 20時) (レス) id: ea9e40fa3e (このIDを非表示/違反報告)
ふりこ(プロフ) - もなさん» わーんありがとうございますー！！一応区切りは着きましたがいかがだったでしょうか！？まだ続く予定なのでこれからもよろしくお願いします！ (3月6日 20時) (レス) id: ea9e40fa3e (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 更新お疲れ様です！いつも楽しく見させていただいてます😊 過去話とても楽しみです♪応援しています。 (3月6日 19時) (レス) @page25 id: 6dcb98b8f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - この作品に出会えてとても嬉しいです！凄く面白いです。物語の描き方が丁寧で、想像しやすいです！😆 (3月3日 16時) (レス) @page14 id: 6dcb98b8f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふりこ | 作成日時：2024年2月23日 16時
