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「僕はね、お馬鹿で口下手で、僕が居なければなーんにもできないAが大好きだよ。Aだって、いつもお世話してくれて、頭が良くてイケメンな僕を独り占め出来て心地よかったでしょ?優越感に浸って、辛そうに偽って、楽しく暮らして来たでしょ?僕はそんな関係に、名前を付けただけなのに、なんでAはそんなに反対するの?」
頭が混乱して、阿呆な私はぽけーっと瞳も虚ろになり、さっきまでの自分が馬鹿馬鹿しく思えて来た。
一般人ぶっちゃって、本当は私も頭が可笑しい、奴と同じ異常者なのにね。
「Aは出来ない自分と僕が比べられて僕が幸せみたいな事を言ってたけど、Aも幸せでしょ?」
私はこくりと頷いた。私の反応をみた奴は、微笑んだ。
「だって、Aが大好きな悲劇のヒロインに自分がなれるもんね。良かったね、僕といて、夢が叶って。僕もAといて、自分が一番って自覚が出来たよ。もう、兄さんと比べられる事は無いんだ。だって、Aが居るからね」
奴の兄は物凄く頭が良くて、今はアメリカに留学している…多分、奴も奴なりの苦労があって、出来損ないの私に依存してしまったのだろう。
可哀想に。
「恋人っていうのは好きな人同士がくっつく事を言うけど、僕達は多分、僕達ごとこの関係を愛してるから、ちょっと分からなくなっちゃうんだ。でも僕達は、愛し合う立派な恋人じゃない?」
奴を見れば、何時だって嫌な思い出がフラッシュバックする。
「そうね、私は…直樹が好きなのかもね」
奴と居れば、何人もの女子に恨まれる。
「A、久しぶりに呼んでくれたね。ずっと寂しかったんだよ?」
奴といれば、不出来な私と比べ物にされる。
「嘘つき」
奴と話せば、自分がもっと異常になっていく気がする。
「Aが笑うの久しぶり。滅茶苦茶可愛い」
奴の隣に居れば、少しだけ安心する。
「もう帰るっ!!」
奴と一生一緒に居れば、慣れてくると思う。
「待って〜A!」
奴を、好きになれると思った。
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薔薇(プロフ) - るしふぁーさん» コメントありがとうございます!!そうゆう楽しみ方もアリですねww喜んで頂けて本当に嬉しいです!! (2020年5月17日 14時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
るしふぁー(プロフ) - 推しの名前でやったらうっひゃあああってなりました (2020年5月17日 2時) (レス) id: ce6d783c61 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - 日名無 りんさん» コメントありがとうございます!!刺さる人には刺さる小説を目指して書いたので、とても嬉しいです!!! (2020年4月28日 7時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ドストライクです!文章も読みやすくて最高でした! (2020年4月27日 12時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - けいこさん» ありがとうございます!!! (2020年4月25日 17時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薔薇 | 作成日時:2020年1月22日 20時