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「よりいっぱいのモンで支えたいねん。セッターやもん……。あー、アイツほんっまにっ……」
取材というより思い出話や現状報告のような逆崎との時間は酷く懐かしく、同時に年を取ってもたいして変わらない軽口や会話は確かに実感が無いまま大人になったというに相応しい。
それから数ヶ月のことだった。サムからの連絡で逆崎の出した本を買いに行ったのだ。
本屋で一つの本を見つけることがどれだけ大変か。なんとなくそんな面倒さを感じながら入った書店の一番前に、逆崎Aと、高校時代よく見た名前が堂々と並んでいた。
どうやら自分が思っているよりも彼女は貪欲に夢を追いかけていたらしく、それに比例するような世間からの評価があるようだった。
人生甘くはないとは言うけれど、食べてみなければそんなの分かりっこないだろうと言ってのける逆崎の顔が思い浮かぶ。
手に取った本の表紙には【春、誓い】となんとも美しい文字が並んでいた。そそくさとそれを購入して、貴重なオフだというのにペラリと家でページをめくる。
読みづらいと表紙のカバーを外せば、否、呪いと別の題名が書かれていた。呪い、と頭の中で言葉を綴る。確かにあの時の俺達は互いに呪いを掛け合って、逃げられなくなったのだ。
「ほんなこと話した覚えないねんけど、お前に」
苦笑して、それからため息。チームメイトにあてた言葉を何故彼女が知っているのか。おおかたサムなんかに聞いたのだろうけれど、それはそれであんなこっぱずかしい一言を覚えているアイツも気色が悪い。
本を読む、というより自分の思い出を振り返るようなそんな感覚。あの時の高揚感も悔しさも、全てがじんわりと思い出された。
【友達でも仲間でものうて、なんというかそう。戦友みたいな】
そんな台詞があった。不思議と逆崎の声で再生されたそれは、やはり高校時代の逆崎を思い浮かばせるような登場人物が放った言葉だった。
【でも胸の内にあるこの熱は、もしかしたら愛とか、そんなものに変わったかもしれへん。今はまだ、その隙間は夢で埋まっとるから】
「【そこに余裕が出来たら、またこの話させてな】」
場面は寒い春の卒業式。「えらい粋なことすんなあ」まだ半分ほどページを残して本を閉じた。ぐっと大きく伸びをして、動きやすい格好に着替える。
サポーター、シューズもろもろが入ったスポーツバッグを背負って、結局体育館に駆け込むのだ。
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える(プロフ) - れいさん» ありがとうございます！本当に励みになります。これからもハイキューのキャラをお借りして作品を作るつもりなので、ぜひ彼らの紡ぐ物語を見守ってもらえれば幸いです(*^^*) (2020年3月22日 17時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - これからも応援してます！ (2020年3月22日 16時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - めちゃめちゃ感動しました。えるさんの作品、大好きです！ありがとうございました！！ (2020年3月22日 16時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - りき。さん» ありがとうございます(*^^*)短編だからこそ密度が濃いものにと思って書いたので、そうおっしゃってくれてとても嬉しいです。次回作も予定しておりますのでぜひ目を通していただければ幸いです(*^^*)読了ありがとうございました！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
りき。 - こんな素敵な作品を読ませていただき、有難うございました。 (2019年11月15日 23時) (レス) id: dfeb754ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年10月27日 12時
