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「送ってくわ。ちょおまっとって」
汗を拭きながらそう笑顔で言ってくれている彼を断ることも出来ず、私は「……ならお願いしようかな」と彼の好意に甘えた。
少し待てば制服姿のバレー部の人達と一緒に宮君が出てくる。「途中まで他の人らも一緒やけどええ？」と宮君は首をかしげた。
「お疲れ様です。いや、あの。その台詞は私のやない？すいません、途中まで私も一緒にええですか？」
そんな私の問に彼らは口々に了承してくれた。頭を下げて、少し後ろをついてこうとすると宮君に手を引かれる。
「なんで一歩下がるん？」
「え。なんでって」
「俺が誘ったんやから俺の隣歩くやろ、普通」
「私、宮君に期待させるようなことせえへんって決めたんよ。私宮君の事好きやない」
前を歩く彼らに聞こえないように小声で言った。「んなもん知っとるわ」と彼は眉をよせる。
「ゆうたやろ。俺もう優しい宮君やないって。Aちゃんがそーやって苦しそうな顔すんの分かっててアピールしてんねん。期待させるようなこと？してや。避けられるよりずっとええ」
「……あかんて」
彼の手をほどこうとするも、流石に力ではかなわない。「何しとるん？」と北さん(どうやら稲荷崎バレー部の主将らしい)が首だけをこちらに向けた。
「……何でもないですー」
ヘラッと宮君が笑う。
「ほうか。逆崎、侑の隣歩いとき。送ってもらうんやろ」
全部聞こえとったんちゃうかなこの人。「……宮君。やっぱ送ってもらうんは「嫌や」」
「しつこいで、Aちゃん」
冷たい声。「……せやな」
「なあ。今日の俺の感想聞かせてや」
「感想？ああ、かっこよかったで。やっぱ一生懸命好きなことしとる人はかっこええよ」
「ほんま？嬉しいわあ。期待させんとか言いながらそんな事ゆーてまうんやからAちゃんは性格ええんか悪いんか分からんな。そーゆー所も好きやで」
「嫌味や……」
ニコニコと彼は満足気に笑う。先程とられた手はそのままで、もういいかと諦めすら浮かんだ。
「Aちゃんは誰に手握られてもそんな赤なるの？」
「なるよ、多分。慣れてへんねん」
「不満やわ」
「宮君は特別やないよ」
「言うようなったな」
事実彼は特別ではない。「愛しとるで、Aちゃん」
「……愛しとらんから近寄んな」
「声弱々しいで。罪悪感がにじみ出とる」
「……でとらん」
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える(プロフ) - まる汰さん» 嬉しい限りです！すごいバレーをする侑君もちゃんと高校生なんだよって作品を書きたかったので、そう言ってもらえて嬉しいです！こちらこそありがとうございました！ (2019年8月21日 15時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
まる汰(プロフ) - めちゃくちゃ素敵でした…宮侑も主人公も普通の高校生な雰囲気がとても可愛らしくてキュンキュンしました。ありがとうございます！ (2019年8月20日 23時) (レス) id: 216222d194 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - チャイさん» 私のほうこそいつもチャイ様の作品に心撃ち抜かれてます…。憧れの作者様にそう言ってもらえて光栄です！私のほうこそ応援してます！コメントありがとうございました！ (2019年8月19日 18時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - すごく面白かったです、、宮侑の性格言動行動が全部わたしのドストライクでした、、撃ち抜かれました、、打ち返します、、満塁、、(？？) 応援してます！！！！ (2019年8月19日 17時) (レス) id: cf703f5653 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» ありがとうございますー！こちらこそです！ (2019年8月15日 22時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年8月14日 11時
