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▽▽▽
「わ、危な。気を付けてな」
「っすまん。サンキュー」
椅子に躓いて転びそうになったクラスメイトの腕を引く。「ええよ」彼は照れくさく笑って、「男前かよ逆崎」と言った。
「ほんま？やったー」
「喜ぶんかい」
一通り笑って隣のクラスに教科書を借りに行く。「んー、かずちゃんいるー？」と教室を覗きこめば、目的の友人はいなかった。
「あ、Aやほー」
「やほー。なあかずちゃんどこ行ったか知らん？」
「知らんで？どしたん」
「世界史の教科書借りに来たんやけど……。なっちゃんは持っとる？」
「あたし世界史やないんよー。ごめんな」
「ううん、ありがとうね」
次の授業は世界史。世界史は選択科目だから借りられる人は限られてくるし、人気がなくて中々世界史をとっている人はいない。よりにもよって世界史を忘れるだなんて、とため息をつく。
別クラスまでいかなあかんかと背を向けると、「逆崎さん」と後ろから声がした。
「えっと、角名君」
「正解。俺世界史あるけど使う？」
「ええの？遠慮せえへんで？」
「いいよ。使って」
角名君はスッと机の中から世界史の教科書を取り出す。「ほんっまありがとう！」とそれを受けとると、彼はクスリと笑った。
「え、どないしたん？」
「何で侑にだけ分かりやすく一線引いてんの？」
思わず静止する。「……一線引いとるように見える？」他の友人と何一つ変わらない風に接しているつもりだった。
「そんなつもりないんやけど」
「ふうん、そうなんだ。逆崎さんは優しいね。突き放すんなら突き放せばいいのに」
「突き放す……」
キュッと心臓が掴まれているような気がした。「……どうしてええか分からん」宮君とは友人でいれれば一番だと思っている。けれど彼にとってそれはいい話ではないわけで。
「宮君は私の事ええ子に見えるんかもしれへんけど、ほんまはそんな事ないんや。宮君、私の事だいぶ美化して見えてんねん、きっと」
彼の好意を否定する訳ではない。私への想いが本物であるからこそ自信がなくなるのだ。彼みたいなすごい人に好かれるほど、自分は出来た人間だったっけ。
「……あー、ごめんな、角名君。これありがたく借りてくわ」
うまく笑えなかった。
「なに余計なこと言うてんねん、角名。ツムにどやされんで」
「いや、逆崎さん思ってたより鈍くて」
その会話は私には聞こえない。
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える(プロフ) - まる汰さん» 嬉しい限りです！すごいバレーをする侑君もちゃんと高校生なんだよって作品を書きたかったので、そう言ってもらえて嬉しいです！こちらこそありがとうございました！ (2019年8月21日 15時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
まる汰(プロフ) - めちゃくちゃ素敵でした…宮侑も主人公も普通の高校生な雰囲気がとても可愛らしくてキュンキュンしました。ありがとうございます！ (2019年8月20日 23時) (レス) id: 216222d194 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - チャイさん» 私のほうこそいつもチャイ様の作品に心撃ち抜かれてます…。憧れの作者様にそう言ってもらえて光栄です！私のほうこそ応援してます！コメントありがとうございました！ (2019年8月19日 18時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - すごく面白かったです、、宮侑の性格言動行動が全部わたしのドストライクでした、、撃ち抜かれました、、打ち返します、、満塁、、(？？) 応援してます！！！！ (2019年8月19日 17時) (レス) id: cf703f5653 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» ありがとうございますー！こちらこそです！ (2019年8月15日 22時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年8月14日 11時
