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「化粧落としてからこいやブス」
ああ遅刻だ、と家から全力で学校まで走った朝。チャイムとほぼ同時に飛び込んだ教室から聞こえたのは、いわゆる人気者と言われる宮侑君の声。
教室は静まり返っていた。ガラガラと勢いよく扉を開けてしまったにも関わらず誰一人の目線も私には向かない。
全員の視線は宮侑君が見下ろしている女の子に向いていた。
同じクラスの女の子で、いたって普通な子。普通の女子高生。彼女は宮侑君の言葉に絶句して、それから目を涙で濡らしていた。
「……んと、どーゆー状況？」
ポロリと口からいつもの音量でそう言葉がこぼれていた。宮侑君やみんなの視線の先は私へ変わる。「ああ、逆崎。おはよう」宮侑君はいつもの笑顔でそう言った。
「あー、うん。おはよう。で、なんか知らんけどどーゆー状況なん？これ」
1限目が始まるまであと5分ちょっと。
「コイツが俺のこと好きや言ってきよったから、そう返しただけやねんけど」
「うっわ。宮田ちゃんブスやないと思うけどなあ。この学校校則ゆるうて化粧別にええんやし、もっと言い方あるんちゃう？」
苦笑。事実宮田ちゃんは別にブスではないし、この学校はいきすぎない化粧はオッケー。私だってファンデくらいはしてるし、こんな大勢の場で言うことではない。
「そもそもこんなに人いる前で告白してくんのが間違ってんねん。しゃーないやん、俺コイツのこと好きやないもん。断ったらアカンの？」
ああ、確かに。「それもそうやな」と頷くと、友人が「ちょ、Aっ」と腕を引いた。
「まあフルフラれるは別にして、やっぱ言い方やない？多分宮君も部活疲れとるやろうしなんか腹立つことあったんかも知れんけど、相手も人間やし傷つくんやで配慮したってな」
「ちょいごめん」と友人の手をそっとはなして宮田ちゃんに近づく。「あんたもほら、泣かんの。言い返したったらええやん」ゴシゴシとカーディガンの袖で彼女の涙を拭いた。
「あ、でももう授業始まる。はーちゃん移動しよ」
担いでいたリュックを下ろして筆記用具と化学の教科書を取り出す。「はーちゃん早くー」と先程はなした友人の手を取った。
「やば、遅れるで。トイレ行きたかったのに。ダッシュー」
「ちょ、A手はなして転ぶ！」
「やだ」
「やだ！？」
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える(プロフ) - まる汰さん» 嬉しい限りです！すごいバレーをする侑君もちゃんと高校生なんだよって作品を書きたかったので、そう言ってもらえて嬉しいです！こちらこそありがとうございました！ (2019年8月21日 15時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
まる汰(プロフ) - めちゃくちゃ素敵でした…宮侑も主人公も普通の高校生な雰囲気がとても可愛らしくてキュンキュンしました。ありがとうございます！ (2019年8月20日 23時) (レス) id: 216222d194 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - チャイさん» 私のほうこそいつもチャイ様の作品に心撃ち抜かれてます…。憧れの作者様にそう言ってもらえて光栄です！私のほうこそ応援してます！コメントありがとうございました！ (2019年8月19日 18時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - すごく面白かったです、、宮侑の性格言動行動が全部わたしのドストライクでした、、撃ち抜かれました、、打ち返します、、満塁、、(？？) 応援してます！！！！ (2019年8月19日 17時) (レス) id: cf703f5653 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» ありがとうございますー！こちらこそです！ (2019年8月15日 22時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2019年8月14日 11時
