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異形型の魔法。例えば体の一部を動物の何かに変化させるといったのもその一種で、身体能力の向上というより、一時的に人間離れした能力を手にいれるという表現の方が正しい。


ただ彼の異形は体を水に変化させる事のようで、物理攻撃が主の私からしたら手も足も出ない相手である。


手も足も出すけれど、水が跳ねるだけで一向に手応えはない。稀少な魔法を使う彼ならばこれだけで十分上級生達にアピールは出来たのではないだろうか。


「っ痛いね」


「俺強いから!」


そして彼の攻撃。きちんと防御しているが力が強い。受け流そうとするも、力の度合いが強すぎてうまく力が分散しない。雑な流しになってしまうために骨がギシギシと痛む。


異形型の上に怪力。欲張りさんか。


自分よりずっと高い打点から振り下ろされる拳はその分勢いと力が乗っていて、もろに食らってしまえば少なくとも二十秒は動けやしないだろう。


「俺灰羽リエーフ!」と余裕綽々で自己紹介を始める彼。「余裕だねえ」笑う。こっちには自己紹介を笑顔で始めるほどの余裕はない。


飛んできた彼の拳を受け止めようと、両手を顔の前にクロスさせた。ガキン。腕にくるはずの衝撃は、そんな音と共に跳ね返される。


ひゅう、と口笛がもれた。


「!?」


「私は逆崎A。よろしくね灰羽君」


ゴツン、と鈍い音が響く。油断した隙に灰羽君のお腹に一発、前屈みになったところで頭を掴んで地面とごっつんこ。「ぐっ!」と腹から出た痛みをこらえるような声がして、彼の体はぐったりと地面に倒れこむ。


水に変化させる隙もない荒業でなんとか彼の意識を奪うことに成功したけれど、勝利と言うにはあまりにも身体中が痛かった。一つ息をつく。「お疲れ」と口にした彼は私の目線から五メートルほど上に作ったシールドに腰を下ろしていた。


「さっきのシールド助かった」


「いいよ。逆崎もよくそんな体であんな強引な動き出来るよね」


「デブじゃない」


「いやそんなこと言ってないけど」


肩を回しながらケラケラと笑う。「でも逆崎は多分、俺のサポートが無くても勝てたよね、今の」あくびをこぼして国見君が言った。「まさか」肩をすくめる。


「過大評価だよ」


「そうは見えなかったけど。勝算があるようなペースだったし」


「鋭い」


彼は少しだけ口角をあげた。「良く見えるもんだよ、ここからなら」思わずその言葉に苦笑した。

5▽→←3



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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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