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「なあ、大地」


「ん?」


「あれ、あの子」


菅原が指を指したのは身軽に動き回るAだった。「なんだ、めぼしいのか?」と首をかしげる澤村に菅原は首を違う違うと横に振った。


「いやいや、無理無理。烏野じゃ扱えないって。俺が言いたいのはなんであんな子が紛れ込んでるのってこと」


「と、言うと?」


菅原は人のステータスを見ることが出来る分析魔法が得意だった。分析魔法を使えるのはこの学園では唯一菅原だけで、彼にはどんな情報も筒抜け。


「魔法は使えないみたいだけど、憑き人だねあの子」


「はあ!?」


「大地うるさーい」


パシッと澤村の頭を軽く叩く。視線はAに向けたまま、浮かび上がる文字に頬をひくつかせ、それを読み上げた。


「魔力中の上、身体能力は特、体力中の中、反射神経と視力聴力どちらも上、武術特、魔法下、精神力中の下、回復力下。特性は憑き人で不死鳥の寵愛。死ぬと全快する。でも体力は回復しないみたい」


「……冗談だろ」


低く、信じられないという声が澤村から発せられた。彼がそういうのも無理はない。そもそも憑き人というのは、怪異。つまり人ならざるものに魅いられた者のことを言う。


その上Aが魅いられたのは不死鳥。怪異というのは人間が作り出し、人間によって存在しているもの。


つまり古くから信じられ、時に信仰され、崇拝されてきたフェニックスの力は計り知れないのだ。


「あの子、死なないってことか?」


「だべ」


難儀だよなあ──


死なない。否、死ねない。首を切られても、心臓をひとつきされても、頭を撃ち抜かれても。不死鳥に魅いられてしまったばかりに、彼女は死ぬことができない。


菅原は心底同情を含んだ声でそう口にした。


「おおかたこの学園に死ぬ方法を探しに来たんじゃない?」


「……やめなさいね、そーゆーこと言うのは」


「俺が殺してあげれたら良いんだけどな」


Aを見つめる菅原の目は悲しそうで、澤村は小さくため息をつく。「スガがしょいこむことじゃないだろ」


「俺は見えてもなんもしてあげれないからさ」


ステータスの一番下はどんな人間でも必ず弱点が書いてある。菅原の魔法の強みは能力分析の中に、きちんと弱点まで書かれているところ。


Aの弱点の横には、死なないことと表示されていた。


それは彼女が怪異に魅いられ、背負った業。

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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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