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「はい、しゅーりょー!お疲れ様っしたー!」


生徒会長の声と何かが割れた大きな音がした。が、生憎そちらに意識を向ける気力はない。まあ何はともあれ終わった、とその場に座り込んだ。


「おつかれ」ポスッと肩が叩かれる。


「おつかれ、国見君」


助かった、と付け足して、彼に差し出された手を握り立ち上がる。スカートについた砂を払うと「そういえば」と国見君が私を凝視した。


「逆崎さ、これからスカートじゃない方がいいよ」


「制服だから今日ばっかりは仕方ないけどね」


「パンツ見えてた。白色」


「バッチリじゃん」


そこは普通濁すべきじゃあないだろうか。女の子の、ましてや今日あったばかりの子のパンツの色を遠慮なしに答えるだなんて。


いかがなものか、と目を向けると「なに」と国見君はどこふく風で、デリカシーという言葉が彼の中には存在しないのかと思わずにはいられない。


「女のパンツは見飽きたって?」


「あまりにも言い方が悪い」


「女の子のおパンツは見飽きたのでございますか」


「そーゆーことじゃない」


国見君は弁解するように「そもそも、あんな容赦ない戦い方をしてる間に見えたパンツに興奮なんてしない」と言った。


「まあ、確かに」


私が男でもきっとそうだろう。ああそういえば、と彼に聞きたいことを思い出す。先輩達に回復されている同級生達を横目に、彼に尋ねた。


「国見君は中学からの持ち上がり?」


「そう。初日からこんなことするとは流石に知らなかったけど」


「なんで?」


「中等部の校舎は高等部の校舎とは別の建物だし、そもそも関わりがないから」


なら中等部からの持ち上がりの子も、この時点で学園を去る子がいるのか。そう思えば酷く残酷であると言えた。


勿論所属決めというだけで退学などとは一言も生徒会長は口にしていないけれど、それでも所属できなければ落ちこぼれと変わらない。生徒会長が言っていたのはそういうこと。


「正直ギャラリーの高等部の人数をパッと見たとき、動揺した」


中等部の人数よりあきらかに少なすぎるから──


多くの観戦席があるにも関わらず、それは半分も埋まっていない。それでも十分な数はいるが、二学年全体と思えば少ないぐらいだ。


「残酷だなあって思うけれど、それは私達視点の話なだけで、学園側の優しさといえば優しさだよね」


戦場で、自らの過信によって死なないための。

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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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