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プロローグ ページ1

晴天だった。雲一つない青空に、地上を照らす太陽。「なんてこと」膝を抱えた少女はボロボロと涙をこぼし、震えていた。


「全てお前がしたことだ」


温度のない声。同情も慰めも、そんなものは一切なかった。ことの全てを彼女に押し付けるような言いように、彼女は肯定する。「……そうね」


積み上げられた死体の山の上は酷く安定していた。彼女が座り、身動ぎをしたぐらいじゃあ少しも揺れない。それは死体の数を物語っていて、すっかり乾いてしまった返り血は彼女の頬にへばりついたままだ。


辺りを包む死の臭いに眉を寄せる者すら、もういない。


「同じ不死なら貴方がよかったわ」


燃え盛る炎を身にまとった一羽の鳥に、彼女はそう口にした。皮肉だ。彼女が彼女自身に対して向けた、皮肉。またはそう、叶わぬような祈りでもある。「不死などと」炎が揺れる。


まるで肩を震わせて、笑いをこらえるようだった。


「お前はすでに死体だ」


「そうね」


力が抜けたように、少女は死体の山に寝転がった。眩しすぎる太陽の光に目を細め、笑う。かつての友人や勇気ある兵士が、寝台のように彼女を支えていた。


青空の下に響く少女の笑い声は年相応で、そのそばに共に笑いあう友人の姿があっても可笑しくないはずであるのに。


そんなことはもしもの話で、彼女にとってはおとぎ話も同然だった。


「あの時生きることを願っていたのなら、私の中にいるのは貴方だったのかも」


ゆっくりと少女は目を閉じた。「あわれな」鳥は言う。人間の愚かさを、脆さを、弱さを前にして、「馬鹿馬鹿しい」と。鼻で笑った。


こんな不完全で劣った存在を愛しく思う自分が心底馬鹿馬鹿しい。


少女の閉じられた瞳は二度と開くことはないだろう。自らの積み上げた死体の数には、彼女自身も含まれている。


それが彼女の罪だった。大昔、彼女自身が死にたいと願ったことへの罪。


「……」


太陽の下、辺り一面を一瞬にして大きな炎が包み込む。


のちにこの惨劇を魔女の大虐殺と人々は呼んだ。





【これはそれから約999年後の話】

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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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