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「先生」


屋上に寝転がる少女の近くに背を向けて、義勇は座っていた。「なんだ」既に五限目を知らせるチャイムはなっている。確か五限目は授業が入っていないはずだ、と義勇は慌てることはなかった。


「先生は大切な人、いる?」


大切な人。思い浮かぶのはかつての仲間だった。あの時は自分の前に何人欠けたのだったか。今毎日のように顔を会わせている彼らは、あの日々を覚えてはいない。


義勇はそこに寂しさを感じることはなかった。


「ああ」


肯定。少女は「だよねー」と気の抜けた声で言った。


「私んち、親が仲悪くてさ。お兄ちゃんだけが私の居場所みたいなところあって。大切だったし、大好きだった」


少女の言わんとすることはつまり、何故自分の兄なのかということで。ムクリと静かに体を起こした少女は、遠くの方の空を見つめて、それから「あ」と口にした。


「帽子飛んでる」


自分の体ならあんな風に飛ぶことはできない。と、少女は苦笑した。


───
──



Aは苦笑した。「太宰ぃい!!」と探偵社に響く国木田の声は慣れたもので、慣れるほどに、最近は各地で鬼の話を聞かない。


最後にAが倒した鬼はあの芥川がいた場きりで、それ以降、ぱったりと鬼は出ていない。鎹鴉が静かだった。


「貴様はまたこんなに書類をためおって!書類置き場じゃないんだぞ貴様の机は!」


「治君。仕事はきちんとやろうよ。雇われの身だろう?」


「しているよAさん。今はこの本を読むことが私の仕事だ」


「そんな物騒な本を読む仕事なんてない」


スッとAがそれを取り上げる。完全自 殺本、と書かれた表紙。「お」とAは太宰が開いていた頁を見て声をあげた。


「……まぎらわしいというかなんというか。そうだ、君はそういう奴だったな」


鬼について。


表紙と中身はどうやら別の内容らしい。


「そんなの僕に聞けばいくらだって教えるよ。まあそれにも限界があるけれど」


「Aさんはあまり聞かれたくないと思っていたのだけれどね。昔の話は嫌いだろう?貴方は寂しがりやだから」


「頼むから敦君達には言わないでくれ。僕はいい格好しぃでもあるんだ」


「自覚済みじゃないか」


「まったく」


Aは太宰に本を返す。「何が聞きたい?」国木田は空気を読んで去ろうとしたが、「独歩君も聞いてくれていいよ」と呼び止めた。


「知ってる範囲でなら、なんでも答えよう」

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赫赫 - えっそこで更新停止…!?勿体ない……!!とても面白い作品です!更新して欲しいです! (2021年12月9日 7時) (レス) @page39 id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
10優 - すんごく面白いです!一瞬で文スト(鬼滅?)の世界に引き込まれちゃいました(笑)更新待ってます。頑張って下さい! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 9d99cb2590 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - あのお願いがあるのですが、逆崎君の詳しいプロフィールを教えてほしいです!無理ならば大丈夫ですよ。更新いつでもいいので頑張ってください! (2019年10月12日 19時) (レス) id: 1558ece2fb (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます(*^^*)不定期な更新ですが、ぜひ逆崎君の物語にもうしばらくお付き合いください。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月11日 0時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!此れからも頑張ってください! (2019年8月10日 23時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年5月25日 23時

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