新たな感情 ページ12
Aさん
そう名前を呼ばれるだけなのに
何故か体が跳ねる様な感情になる
「!…ごめん…泣かないで」
『泣いて…る…?』
良平は私の目から流れる雫を親指で拭う
それでも私の視界は歪んでいる
『良平のそんな顔…見たくない
笑っていてほしいって思う…。』
「Aさん…。」
『ごめんね…わがままなのかも』
「好きな人の笑顔が見たいのは皆一緒だよ
もちろん俺は今そう思ってる。」
『…良平の悲しい顔をみると胸の奥が痛いのも…
全部私が良平に恋しているから…?
自分が自分じゃないみたいなの…。』
そう言うと良平に抱き締められる
…あったかい…。
今なら…話せるのかな…
家族の事を…この人に…。
『良平…そのままでいい…聞いてほしい』
「…何…?」
『私がきっと恋愛を…愛を知らないのは、
私の家族が泰和しかいないから。
お父さんは別の家庭を持っていながら
私達と一緒にいた…お母さんはいなかった』
「Aさん…そんな事が…」
『多分…怖いんだと思う
誰かと一緒になるのが…だから…』
「怖いなんて感情無くなる位、
今まで貰えなかった分埋めるくらい
たっくさん愛してあげる。」
何でだろう…この優しさが…痛い。
けど…とてつもなく嬉しい
あぁ…やっと分かった気がする
恋愛は辛いけど…満たされるものなんだ
もしそうだとしたら…私は…
『良平…笑って…?』
泣いているからか震えた声になってしまう
でも良平はそれに応えて笑ってくれる
私…その笑顔が見ていたい
『今はまだ分からないけど…
でも私は良平の笑顔も優しさも好き
多分それは他でもない良平だから
だから…お願い…私に愛を…教えて…、』
「…絶対後悔させないから…っ」
『もう…1人になるのは嫌だ…っ、』
初めてだ心の底からの本音をぶつけるのは
私はずっと1人になるのを恐れている
「1人になんかさせない…絶対に。」
また私の心が満たされていく
「…混乱させてごめんねAさん」
『大丈夫…私の方こそごめんね
…めんどくさいとか思わない…?』
「思わない。Aさんだもん。」
『…ありがとう。』
ブーッとブザーが鳴りそして扉が開く
『…開いた』
「Aさん…大好き」
『ありがとう…私も好き』
ほら手、繋いで行こう?
そんな事言われたら繋ぐしかない
そう直感で思ったから手を重ねる
ありがとう良平。
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