Charoite

完璧で不完全な彼女 ページ17

普段は綺麗な部屋
一人暮らしには合わない
大きなテーブルとソファ



『付き合わせて…ごめんね』



ブランケットの掛けられた2つの背中
その正体は有都久美と江口拓也だ

つい数時間前までワイワイしていた部屋は
今は静まり返っていて寂しい


仲良く眠っている2人を見て悲しげに微笑む
このままずっと仲良くいて欲しい
あわよくば恋人同士になって幸せに＿



『いつまで続くのかな』



ハイボールを飲みながらポツリと呟く
姉さんと拓也くんの曖昧な関係は、
”あの人”への贖罪はいつまで続くのだろうか



『早く幸せになって…そして離れて…、』



煙草に火をつけながら思い出に浸る

あの出来事_”あの事件”から7年_。
幸せだった私とあの人との関係は壊れて
私は_私(あたし)_じゃなくなった



私はまだ怖いよ

大切なものをつくるのが怖い
また失ってしまうと思うから

心から誰かを信じるのが怖い
いつ裏切られてもおかしくないから



先輩からも後輩からも慕われている
私を応援してくれているファンの人がいる
でもそれに慣れてはいけない



『絶対なんてない。』



あの人に…”愛していた彼”に言われた事
_愛してる…絶対守るから…、_


確かに私を守ってくれた…でも…
隣にいなければ意味は無いんだよ？？



『ｯ…、』



煙草を咥え空になった缶を潰し捨てて
溢れ出る涙を隠すためベランダに出る

人前では弱音を吐かないし涙も見せない
完璧というプレッシャーとプライドと
誰にも頼れないという不安に負けた時
私は独りで泣いている



『誰を…頼ればいいの…？？
誰なら本当の私を…見つけてくれるの…、』



_教えて…”________”。



誰に本当の自分を出せばいい？？
完璧じゃない人形でも無い私を誰なら…こんな弱い私を…認めてくれるのだろう



人間らしく無くなった私を認めて下さい
本当の私がいられる場所が欲しい


私が完璧でいる理由は1人でいたくないからなんだ誰かに必要とされていたいだけ



『1人は…嫌だよっ…、』




”今亡き恋人への贖罪”と”いつか訪れる孤独の恐怖”


この2つこそが彼女の抱える闇


『ごめんね…ごめんねｯ…、』

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