未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ8)

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わいわいとしていたが、
大和さんの声でしん、と静まった。

「あれ。
百さんのグラス、カードが入ってますよ。」

「あっ、ホントだ！
誰が、いつの間に…」

その声に部屋を見渡すと、
天さんが居ないことに気づいた。

「なんて書いてあるんだ？」

「…僕の歌を、
歌ってくれてありがとう…
…ゼロ」

ゼロ、という言葉に目が見開く。
…あのゼロが、わざわざメッセージを…？

「まさか、本物！？」

「だ、誰かのいたずらだろ…？」

「誰かって…
ゼロみたいな人、ここにいた？」

「ドラマチック・サプライズです！
マジックのようです！」

「良かったじゃん。
メッセージくれたってことは。
ゼロが怒ってなかってことだろ。」

「…じゃあ、記者会見や、
今夜のライブに現れたゼロは一体…」

「ただの狂言者でしょう。
時代遅れのね」

あのゼロはきっと本物ではない。
私のことを見た瞬間に、足元から頭まで見るあの視線。
仮面を被っていたとしても感じた既視感。

私のことを3流以下だと言ったあの人だ。

…いや、まさかね。

そんな考え事をしていると

「…Aちゃん、どうしたんだい？」

社長の言葉で一気に現実へ連れ戻された。

『ううん、何でもないです』

私は今、ちゃんと笑えているだろうか。