未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ7)

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龍さんが酔っ払い、
ユキは万さんにだる絡みして、
モモがそれに嫉妬して、
お兄様と環はそれに巻き込まれて。

みんな楽しそうにしてるな、なんて思いながら
部屋の隅でそれらの出来事を見ていた。

「隣、いいかい？」

『あ、はい。どうぞ…』

声をかけたのは社長だった。
意外な人だったので咄嗟に他人行儀になってしまった。

「Aちゃん、大きくなったね」

『急に親戚のおじさんモードですか？』

「あははっ、そうだね。
でも僕は前よりも今のAちゃんの方がいいな。」

『え？』

「気づいてない？
時々敬語抜けてるんだよ。
同世代の子が増えたって言うのもあるかもしれないけど」

言われてみれば確かにそうかもしれない。
ユキとモモに出会ったあの時から、
檻の中に閉じ込められていた頃とは違う感情があった。

「僕達はどんな事があっても君の味方さ。
…最初の契約があるからじゃない、
同じ仲間だからね。」

『…はい』

だから、と社長は話を続けた。

｢Aちゃんがどんな決断をしたとしても、
僕達は信じるよ。｣

『ありがとう、ございます。』

この世界に足を踏み入れる覚悟が
完全では無い私に、
その言葉は胸に重く響いた。

それでも、突き進むんだ。