未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ31)

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『万さん、しばらくドラマ以外のお仕事ストップできる？』

「…急にどうしたの？」

『…今は会社の方に力を入れたくて』

ダメ元の嘘だったが、万さんは少し考えた後、
二つ返事で了承してくれた。

案外、うまくいくんだな…
なんて考えながら万さんとはお別れし、
帰路についた。

帰りも送る、と煩かったが、
寄りたいところがあったため万さんをなだめて何とか収める事が出来た。

＿＿＿
-ご利用ありがとうございました。

『おぉ…』

機械的な声をBGMにその場を後にする。
印字された文字を見れば、
桁の多さに思わず変な声が上がった。

今までまともに残高なんて見ていなかったのだが、
この額であれば老後まで普通に、
嫌割と裕福な生活をしていても問題なく暮らせるだろう。

その足で飛行機のチケットや必要なものなどを調達していると、
時刻は既に終電がない、夜中になっていた。

『まぁ、最寄で買い物していたし、
歩いて帰るか』

そう思って寮の方へ向かって歩いていると、
大きなキャリーケースを持った見覚えのある人影を見つけた。

『…大和さん？』

「A…、こんな時間に、夜遊びか？」

いつも通りにからかっていた大和さんだが、
顔を見れば苦しそうな顔をしていた。