未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ26)

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何曲か歌い終わり、
ふと周りを見渡すと先程よりも明るく
時間がだいぶ経ったことが分かった。

「いい感じ、じゃ人が来る前に撤退しようか」

『あ、手伝うよ』

数台のカメラを片付けながらふとユキに疑問をぶつけた

『このカメラどうしたの？』

「NEXT Re:valeのカメラマンが貸してくれた。
話題のバイオレット収録しようか？って聞いたら
すごい速さで機材貸してくれたよ」

『そんな人気なんだ』

「結構話題になってると思うけど。
ニュースとか見ないの？」

『あれから見る気がないんだよね』

笑いながら返すと、
ユキは気まずそうに作業を続けた。

あのニュース番組が降板になってからは
テレビ自体そこまで見なくなってしまった。

SNSからも離脱してしまった今、
世間の流行りなんて全く分からなかった。

それから特に会話もなく、
車に乗り込んで帰路に就いていた時だった。

「Aは今の方が何色にも染まってなくて美しいと思うけど」

『ユキよりも？』

「もちろん僕の次に」

『素直じゃないな』

独特な伝え方だけど、
それなりに元気を貰えた気がした。

寮まで送ってもらい、
お別れする際にユキからこんなことを言われた

来週のNEXT Re:valeは見て、と。

もしかして、と多少嫌な予感が残るが
素直に見ることにした。