未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ2)

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順番が来るまでは舞台袖からじっとステージを眺めていた。
アイナナちゃんも、TRIGGERも、
すごくキラキラで、輝いていた。

｢…Aちゃん｣

いつの間にか万さんもいたようで、
心配そうな顔が視界に入った。

『悔しい
私も、あそこで歌いたい』

口から出た言葉は、
初めてゼロを見たあの時と同じだった。

「うん」

万さんは責めることなく私の話を聞いてくれた。
その優しさが私の視界を歪ませる

『今はヴァイオリン(これ)でしかステージに上がれない。
それでも、応援してくれる万さんやRe:vale、
アイナナちゃんやTRIGGERがいるなんて、
すごく幸せなことだよね。』

今までも私1人でここまで上がれた訳ではない。
期待されて、それに応えてきたんじゃないか。

なら、これからも期待に答えれば良いだけだった。

「本日はスペシャルゲストに演奏していただこうと思うのですが、
よろしいでしょうか？」

「え？一織、どういうこと？」

「スペシャルゲスト…？」

ステージから声が聞こえてきた。
観客からも誰？と、疑問が飛び交う。

「Aちゃん、これって…」

さっきまで優しい顔をしていた万さんの眉にシワがよる。
ああ、かっこいい顔なのに、もったいない。

『それなら今できることを、
全力でやるだけだよね。
…万さん、行ってきます』

そうして私は、またキラキラな世界へ足を踏み入れる。

春樹、私諦めないから、
待ってて。

＿＿＿＿＿エピソード31 そして、サナギになる