未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ50)

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そのまましばらく三月さんと話していた。
すると、リビングの扉が開き、
視線を移すと一織だった。

あれ以来まともに話した記憶がなく、
何となく気まずい

「おはようございます、兄さん」

「おはよ、今日も早いな」

「兄さんこそ」

完全に空気と化した私はテレビを見るためにソファに移った
今日は曇りか、微妙だな

「おはようございます、Aさん」

まさか声をかけられるなんて思ってもいなかったため、
少しだけ肩が揺れる。少しだけね

『おはよ』

「今日はお休みなんですか？」

『朝の番組はね、普通に仕事はあるけど』

「お忙しいんですね」

『一応』

常に敬語を使う一織は気持ちが読み取りにくい

「学校、もう来ないのですか」

『仕事優先だから』

「…そうですか」

それだけ言うとまた三月さんの方へ手伝うと行ってしまった

今までお友達、という存在が少なかったからか、
学校が楽しいと思えることは少なかった。

昔から逢坂の苗字によってくる人はいたけど、
私を見てくれる人は少ない

だから、苗字を捨ててから知り合った人達は大丈夫なはずなのに
どこかで不安に思っている私はきっと臆病なのだろうか

リビングで冷めたコーンスープを飲みながらテレビを見ていると、
続々とアイナナちゃんたちが起きてきた。

みんな私がいることにびっくりしながら挨拶してくれた
なんていい後輩達なんだ…