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留学最終日、春樹に会いに行くと1枚の紙切れを渡された。

『なにこれ?』

「Aのアイドル計画書だ」

『あんまり書いてないけど…』

渡された紙は計画書にしては文字があまり書かれていなかった。

「Aならできるさ。
後はAのタイミングで実行してみるといい
俺はマネジメントとかよく分からないが、
お前さんはゼロよりも上をいける、そう思うんだ」

近い距離でゼロを見ていたからわかる、なんて言う春樹
確かに彼は作曲に長けている
それでも彼の言うことはなんだか信じられる気がした。

『ねぇ、最後にお願いがあるんだけど』

そう言って楽譜をピアノの上に置いた

「これ、Aが作ったのか?」

『うん、春樹と音楽をしてみてやってみたいな、と思って…
ダメかな?』

「そんなに怖がることは無いさ。
悪いことじゃないんだから自信を持て
じゃあ、一緒に弾こうか」

『…うん!』

春樹のピアノと私のヴァイオリン、ボーカルで初めて曲を作った。
まだ題名のない曲だけれど、
初めての曲で春樹ほど素敵な主旋律では無いけれど、
今まで音楽をやってきて一番素敵な時間だった。


「Aは才能がありすぎて怖いな…
もっと違う家に生まれていたら今頃有名人だ」

『私をほめても何も出てこないよ』

そんな楽しい時間ももうすぐ終わりの時間になる

『また、会える?』

「あぁ、会えるさ。次会ったら俺が曲を渡すさ」

『ほんとに?私、春樹の曲歌えるの?』

「もちろん、俺が見つけた逸材さ」

そうして私の短期留学は終わり、
また檻の中の生活が始まった。

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作者名:ReePhantom | 作成日時:2023年10月5日 23時

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