132 ページ35
そんな中、学校から留学を提案された。
ノースメイアという国でとても寒いらしい。
数ヶ月の期間だったが、
外の世界を見たいという想いから立候補した。
「本当に1人で大丈夫?
とても寒い国だから暖かくするんだよ」
『大丈夫だよ、お兄様。
もう小学5年生だよ?心配しないで』
「僕にとってはいつまででもAは妹だから、
ずっと心配するよ。」
『心配しすぎて胃に穴空けないでね。私の心臓がもたない』
「Aも僕のこと心配してくれるの?」
『もちろん、たった1人のお兄様だもん』
ノースメイアに行く前、
お兄様だけが心配をしてくれた。
見送りも、お兄様だけだった。
『じゃあ、いってくるね』
はい、と両手を広げるお兄様
「行ってきますのぎゅーは?」
『え、恥ずかしいよ』
「早く」
『ちょっとだけだよ』
久しぶりに感じた人の体温は心地よくて、
これが家族なのかな、と考えた
ノースメイアにつき、空港を出ると突き刺さるような風がふいていた。
口を開けると凍ってしまいそうなほど、
寒い国だった。
学校でヴァイオリンを習い、
寮に戻っても好きなだけ練習ができる。
この時間が私にはとてつもなく幸せだった。
そんなある日、コーチからとあるお店を紹介された。
この国では珍しい日本人がピアノを弾いていると聞き、
私は早速そのお店を訪ねることにした。
123人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ReePhantom | 作成日時:2023年10月5日 23時