未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ30)

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「殴られたって…？閉じ込められたってどういうこと？」

『そのままの意味です』

お兄様の目が見開く
あ、ストレスで倒れた人には良くない話だったよね…
完全に忘れてた。。

『彼女は独りで勝てないラスボスに立ち向かっていたんです。
だから彼女には3つ上のお兄さんがいましたが、
そのお兄さんにも言わないまま…今まで耐えてきたんです、』

頬から生ぬるい液体が零れる
それでも私は言葉を続けた

『そのお兄さんはすごく優しくて、
いつも彼女を気にかけていた。
だから余計に彼女はお兄さんに負担をかけたくなくて、
独りで抱え込んだまま外に飛び出したんです。』

「そのお友達は、今は幸せかな？」

突然の問いにドクン、と心臓が飛び跳ねる

『彼女はまだ約束を果たせないまま道を迷っています。
暗い道を、時々光が差し込むけれど、
その道は正しいのか分からない。

それでも少しでも明るい未来のために彼女は走り続けてます。』

「…そっか。ねぇ、A」

『なんでしょうか？』

「君がそんなことをされていたなんて、知らなかった。
守ってあげられなくて、ごめんなさい」

そう言って頭を下げたお兄様
ぽたぽたと涙が布団を濡らしていた

『違うの、お兄様。顔を上げて…？』