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今日はドラマ撮影の日で、
いつもより少しだけ早めに現場入りしていた。
目的はひとつ
『大和さーん!オファー受けたんだね』
「ま、まぁな。てか、Aもこれに出てたんだな」
『この前相談したじゃん』
「相談よりも強制って感じだけどな」
『まぁまぁ。初めてだけど何となく流れ分かるでしょ?』
「お陰様でな」
『…ねぇ、この業界に入ってから話した?』
「話してない」
『ふーん、ほら挨拶行くよ。
アイナナちゃん売り込まないと』
「はいはい」
そうして何人かのキャストやプロデューサーに大和の紹介と、
アイナナちゃんの紹介を済ませた。
_____数日が経ち、遂にドラマもクランクアップが近づいてきた。
『私、今日クランクアップだから。
残り頑張ってね』
「早いな」
『ドラマなんてそんなもんだよ。
寂しいの?』
「別に、ほらそろそろ始まるぞ」
『あ、ちょっと待ってよ』
ちょっとだけ悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった。
どうせこれ放送されたら嫌でも沢山ドラマに出る事になるだろう。
主役を食らう程彼の演技は完成されていた
スタッフのカウントダウンが始まり、
深呼吸をする
「おい!待ってくれ…俺が悪かったから、考え直してくれ」
『見捨てたのは、先生でしょ?』
「俺は、見捨ててなんか!」
後ろにいる大和さんの方にくるりと回る
前回よりも柔らかく、優しく微笑む
しっかり大和さんを見て息を吸う
『先生なんて、大っ嫌い』
重心を後ろに倒して重力に従う
落ちている間もその表情は崩さなかった
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作者名:ReePhantom | 作成日時:2023年10月5日 23時