未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ1)

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『どうでしょうか？』

「あ、ごめん。めっちゃ見入っちまった…」

「大和さん、演技お上手なんですね」

「あはは、それほどでもないよ。
このシーンで悩んでるってことは他のパターンあるのか？」

『…一応』

「もうワンテイク」

『あの、この辺気をつけて』

「？わかりました」

三月さんとお兄様の頭にはてなが浮かんでいる
確かにもう1パターンはあるけれど、
あまり自信が無いのでやりたくないのが正直な気持ち

階段を登り、大和さんの前に行くと心做しかにっこりしている
もしかして読まれてる…？

「よーい、スタート」

あ、もしかして遊ばれてる…？

「おい！待ってくれ…俺が悪かったから、考え直してくれ」

『見捨てたのは、先生でしょ？』

「俺は、見捨ててなんか！」

仕方ない、一応相談でやってもらっているし、
これであわよくばアイナナちゃんたちが背中を押してくれるだう

そう思ってぐるりと大和さんの方を向く

しっかり目を見て

にっこり笑って

『先生なんて、大っ嫌い』

そのまま重心を後ろに倒し、重力に従って落ちる
こういう時、周りがスローモーションになるって本当なんだな、
なんて呑気なことを考える。

さすがにそのまま落ちるのはよろしくないので、
受身をとって着地した

『これがパターン2だとしたらどっちがいい？』

「お前、何者なの？」

『アイドルです。質問に答えて』

「パターン2だな、この作品的には。
あんな顔されたらトラウマになりそうだわ」

「ドラマの現場ってこんな感じなんですかね？」

「やばいの見ちゃったかもな」

『じゃあ2で。ありがとうございましたー。
たまには役に立つじゃん、お兄さん』

「お兄さん的にはもうちょっと可愛い相談がいいけど」

『んー、考えとく』

その後アイナナちゃんたちがドラマのオーディションを受けろ、
と大和さんにお願いしていたのは言うまでもない