【文スト】とりあえず笑っとけ【暗殺教室】

いち ページ2

｢ここ、かな。｣

｢ああ、そのようだな。急ぐぞA、予定より32秒も遅れている。｣

長い長い坂を登り、やっと姿を現したのは古びた木造の校舎。先日挨拶のために訪ねた本校舎とのあまりの違いに目をぱちくりさせていると、国木田くんの素っ気ない声が返ってきた。

ったくもう、そんなんだから彼女できないんだよ、といつも見ているより高い位置にある国木田くんの顔を見上げると、やかましいと怒られた。

｢俺の理想では4年後に、｣

古びた校舎内に入り、ぎしぎしと軋む廊下を歩きながら中を見渡す。隣で理想を熱く語る国木田くんはスルーだ。たまにふんふんと適当に相槌を打ちながらきょろきょろしていたら、聞いているのかお前はと軽く頭を小突かれた。

｢わ、酷いなぁ国木田くんったら。ね、知ってる？今の時代はこういうのも体罰で訴えられたりするんだって。国木田くんも気を付けないと依頼云々の前にせっかくの教員免許失うことになるかもよ。｣

にぃ、と意地悪く笑って下から覗き込むと、眉間に皺を寄せた国木田くんにぎゅっと鼻をつままれた。

｢少しは静かにできんのか莫迦(ばか)。だいたい、お前以外にはやらん。｣

｢んぐっ、ちょ、痛いっ、痛いってば国木田くん！｣

中々の力で私の鼻をつまむ彼の腕をばしばしと叩くと、はぁとため息を吐いてやっと離してくれる。

鼻がもげるかと思った......。少し赤くなった鼻を擦りながら手鏡で確認していると、ハッとしたように時計を見た国木田くんが声を荒らげる。

｢おい急げA、お前のせいで予定時刻より51秒も遅れてしまった。｣

......相変わらずなことで。

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