今宵、月夜に君は輝く。Ⅱ (ページ35)

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丸ちゃんさんが章大くんの服を詰めたダンボールを取りに来てくれる日だから

仕事終わりダンボールを持って、丸ちゃんさんの車が来るのをマンション前で待つ。

勿論、大倉さんには会わないように注意しながら

まだ大倉さんは帰ってきてないっぽいから、ちょうど帰ってきた大倉さんとバッタリ！
なーんてことも有り得ちゃいそうで怖い、、

キスのひとつでこんな風になってる自分が馬鹿らしくて少し嫌になる

待ってる私の前に1台の車が停まった。

もしや、と思い運転席を除くとビンゴだった

「ごめんなーちょっと遅くなっちゃったわ」

『いえ、全然！』

大倉さんに会う前に丸ちゃんさんに会えて少しほっと胸を撫で下ろす

「ちょっとめんどくさいやつに捕まってもうてん
もう、着いたでー、いい加減起きやー」

面倒くさそうに笑う丸ちゃんさんが、後部座先の扉を開けると、

「あれもう着いたん、、?」

＂めんどくさいやつ＂の正体、まさかあなたとは、、

さっき胸を撫で下ろした時間を返してほしい

「あ、Aちゃんやん！」

『こ、こんばんわー』

スーツを着崩しまだ少し眠そうな大倉さん。
普段は、胸がキュンってときめくだろうけど今はドギマギする

この人は私とキスしたことなんて覚えてないんだろうなって思ったら悲しいような、そうじゃないような、

「なにか、伝えといて欲しいことある？」

ダンボールを受け取りながら、丸ちゃんさんが優しく聞いてくれる

『そうですね、、、』

幸せにね。もなんか違うな
好きだったよ。もなんか違うしな

最後に伝えたいことなんていっぱいあるけど、どれも未練たらしい

『特にないです、ただ渡しといてください』

精一杯の強がり。
最後まで可愛くない女だなとは自分でも思うけど、これでいいんだ

「そっか…わかったちゃんと渡しとくな
もう少しお話したいところやねんけど、ごめんなー今日このあと予定入っちゃって」

私から受け取ったダンボールをさっきまで大倉さんが寝てたところに起き、車に乗り込んだ

『すみません予定あるのに、頼んじゃって』

「ううん、Aちゃんのが先約やったから大丈夫♡」

ご丁寧にウィンクまでつけてくれた

ステキ！！ってなってる私と対照的にうげぇー状態の大倉さん

「じゃあ、帰るな〜
ばいばい、Aちゃーん。」

「俺は！」

「あ、大倉もじゃあな」

大倉さんを適当にあしらって丸ちゃんさんは帰って行った

「なんやねん、あのしゃくれ」