神のゆりかご (ページ3)

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No.2 ページ3

何をしているんだ…
猛暑日に出かけて、倒れて人に迷惑をかけている。
一度考えると、思考がぐるぐると頭の中で駆け巡る。

「お待たせしました」
「これどうぞ！」
彼女の声でハッとする
彼女は手で額の汗をぬぐいながら、僕にアクエリアスを渡す。

「え、いや、頂けません」
介抱だけでなく、飲み物まで…

「いえ、飲んでください」「このままだとまた倒れますよ」
はっきり言われ、有無を言わさずペットボトルの蓋をあけられる。

「すみません」受け取り、口に含む。
冷たい飲料が喉を通る。
それに合わせ、ぐらぐらと回っていた視界が安定する。

「ありがとうございました」
そういうと彼女はにっこり笑って、
「よかったです。顔色がまだ悪いですし、ゆっくり休んでから動いた方がいいかもしれません」
「私、次授業があるので、心配ですけど帰りますね」
「では、お大事に」

腕時計をちらっと見た彼女は、急いで公園を去ってしまった。

まるで嵐のような人だった。
申し訳ない気持ちを飲み込むように、アクエリアスを飲み干す。

「今日は収録があるから、会社に行かないと」
ゆっくり歩きだす。

そして、彼女のハンカチを握り閉めていることに気付く。
「忘れてる！」

やってしまった。握りしめていた。

僕は恨めし気にぬるくなったハンカチを見る。
ピンクのハンカチの中にいる猫と目が合う。

なぜだか、彼女とはすぐに会えるような気がした。