羅刹の幻影は囁く part11

【FAMILY】19 ページ35

店を出て、暫くすると珂波汰たちが立ち止まっているのが見えた。
声をかけようとすると、丁度珂波汰が「もしお前等が家族に嘘つかれてたらどうする」と３人に問いかけていた。

珂波汰「大事な事を言われず、秘密にしてたら」
紗月「…別にどうってことなくね？たとえ家族でも言えねぇ秘密の１つや２つもあるだろ」
玲央「紗月ちゃんお得意の…“例の本”の隠し場所もね」


玲央の言葉に「うえぇ！？」と真っ赤にし、うろたえる紗月。例の本って……ああ、あれか。
騒ぐ彼らに対し「そうじゃねぇ、もっと大事なことだ！」と声を荒げ、お前等の命に関わる事とか、と言葉を続けた。

彼らの命に関わる事で家族…依織さん達が秘密にしている事。珂波汰が依織さんがしようとする後ろ暗い計画の事なんて知る由もないと思うが…あ、あれか。


ファントメタルによる副作用の危険性かな。
メタルを使用し過ぎると人体にも影響を及ぶ。学者のデータとかでは、寿命の方でも問題が出てたっけ。



北斎「だとしても、いや……だとしたら、俺は信じる」
珂波汰「信じる？」
北斎「ああ。だとしたらそれは、俺達を守るための秘密。家族を守るための嘘。それを疑ったりしない」

珂波汰「っ…」

紗月「まあ、そうだよな。兄貴のために命張るなら本望だぜ！」
玲央「僕も兄貴についていくって決めた時、覚悟きめてるし！」
紗月「いったろ？仁侠なめんなって！」
北斎「うん」


珂波汰が出した不安要素等気にした素振りも見せず、彼らは笑ってそう答えた。
それに対し、珂波汰もキョトンとした顔を浮かべている。



命に関わる。
それだけ聞けば不安や恐怖に侵される事だってある。だけど彼らは、家族を…依織さん達を信じているからこそ、今のような言葉が出てきた。それだけ彼らの事を、依織さんは大事にしているという事だろう。



紗月「じゃあな！次会う時は、ステージの上だ」
北斎「俺達も負けない」
玲央「覚悟しててね！あっ、Aちゃんにもよろしくね〜！」



そのまま双子に手を振ると、3人は夜の街の人込みへと消えていった。

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