羅刹の幻影は囁く part10

【301】＿＿cozmez ページ44

那由汰「あ、珂波汰。おはよう」


目を開けた珂波汰の視界に入ったのは、夢で見た姉ではなく、弟の那由汰。
先ほど見た幻像が夢だという事を脳で理解しつつも「やっぱりか」と思わず言わざるえない珂波汰。ガシガシッと少し跳ねた前髪を撫で、「おはよう」と返事を返す。



那由汰「どうしたんだ？なんか変な夢見たの？」
珂波汰「変って訳じゃねーな」
那由汰「じゃあ、いい夢？」
珂波汰「……………あー。いや、やっぱ嫌な夢だ。思い出したくねーもんまで思い出しちまったし」
那由汰「何それ」



変なの、と呟いた那由汰は「朝飯チンする？」と言い、ダンボールの上に置いていた雷麺亭のテイクアウトの餃子を指さす。昨晩、というよりほぼ深夜に買ったものなのでさほど時間が経って居ないソレは、スラム街の冷たい空気ですっかりと冷え切っている。

「だな」と頷きながら立ち上がる珂波汰。
んーとくぐもった声を上げて、腕を伸ばし、固い床で眠った体を伸ばしていく。グーッと腕を伸ばす際、腹の虫が殺風景な部屋に響いた。


珂波汰「あーっ、腹減った」
那由汰「ギョーザ、あっためて一緒に食おーぜ」
珂波汰「あぁ、そうだな」



今温めるとギョーザを手に持ち、部屋の隅に置かれる電子レンジにいれる。

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