羅刹の幻影は囁く part6

【163】 ページ36

『そういえばさ、シロ君なの？ちゃんなの？』

紗月「どっちでもいいだろ」

『いや女の子で君付けは失礼だろ』

紗月「真面目かよ！オスだよ、雄」

『シロって名前誰が決めたんだ？単純すぎない？』

紗月「拾ったの、北斎だからな」

『あーっ、なら仕方ないか』

紗月「なんでだよ！つーか、その言い方なら俺や玲央ならダメなのかよ！」



文句を言い続ける紗月を無視しつつ、細い路地を見たりシロの行方を捜し続けるA。
ブスっとしつつ、その背中をじっと見ていた紗月は、先ほど男達の言葉を思い出す。


紗月(コードとかわけわかんねぇけど…コイツが、んなもんつけられる犯罪者には見えねぇんだよな。ぶっちゃけ、人相とかなら俺の方が悪ぃし)

『何か聞きたそうだね』


ジーッと見られていることに気付いたのか、Aは振り返る。
突然、振り返られビクリと肩を揺らした紗月だが、「あー」と言いにくそうに帽子に手を置く。



『さっきの奴等の事だろ、どーせ』

紗月「ぐっ…んで、わかんだよ」

『君、顔に出過ぎ。気になるって書いてあるよ』

紗月「……悪かったよ、別にお前をどうこうっていう意味じゃねぇ。ただ、人相なら俺の方が悪いのにって思って」

『人相で犯罪歴決まったら、困る奴等山ほど出てくるぞ』



本当に素直だな、と言われ、拗ねた様子でそっぽ向く紗月。
そんな紗月の様子にクスクスと笑ったA。

そして話を逸らすように紗月は「だーっ！」と声を出す。

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