羅刹の幻影は囁く part6

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玲央「いつもチュールを出したら、どこに隠れても出てきてくれるんだ…けど、全然出てきてくれなくて……も、もしかしたら、外に出ちゃったんじゃないかって」

『……その子、元は野良？』

北斎「うん。野良猫」

『じゃあ、外に出て散歩行ったんじゃないの？ここが家だと分かっているなら、その内戻ってくるかもしれないし…』

紗月「で、でも今まで一回もそんな事なかったんだぜ！外に出たとして…もし怪我とかしたら」



完全なる家猫ならまぁ不安だが、一度野良に出ているならその生き方も知っているだろうし……家に帰ってくる事だって出来る。
だが、それをこの子供等に説明しても意味はないし、本当に怪我している可能性も否めない。



『……いいよ、分かった。探すの手伝ってあげる』

玲央「本当！？」

善「だ、だがA君。君は体が…」

『猫探しにアクロバティックする訳じゃないし・・問題ありませんよ。それに、家族なんでしょう？依織さん』

依織「まぁ、猫やけど。うちらの家族には変わりないわ。頼まれてくれるか？」

『よく言うよ。目で“手伝えや”って言ってる癖に』



「そないな事あらへんって〜」と軽口をたたく依織さんを睨みつつ、スマホを取り出す。



『一応聞くけど、行き先に心当たりとかは？』
玲央「外に出したことないから、わかんない」
『いつからいないんだ？最後に確認したのは？』
玲央「ぼ、僕だよ。朝ご飯をあげた時はいたんだ」


2，3時間弱。そこまで遠くには行ってない…事を願いたい。
一先ず、家の中にまだ隠れて寝ている可能性もあるから…。


『体力ある若造コンビが外で、大人組が家の中捜索するってことで』
依織「俺と善が体力ないみたいやないか」
『あ、善さんは無しで』
依織「俺かてあるわ！」



失敬やな！と声を上げる依織さんを無視し、子供等3人に目を向ける。



『それでいい？』
紗月「あ、あぁ」

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