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暫くするとその光は薄れ、黒い表面に戻った。
那由汰「あ?き、きえた?で、でも今、光って…」
珂波汰「これって、宝石かなんか?」
『これはファントメタルの原石だ』
「「ファントメタルの?」」
私の言葉を復唱する2人。
彫金師であることを知ってるな、と珂波汰に問うと戸惑いながら頷かれる。
『彫金師やっていると、こういう原石から選んで作るケースがあるんだ。これはそれの1つ』
那由汰「彫金師?」
『特殊な工具を使って、アクセサリーとかを作る職業の事だ。私はファントメタル専用の彫金師をやってる』
石を机に置き、引き出しからハンマーとは別に鏨と石を小型の万力を出す。
万力で欠けた石を固定し、鏨の刃先を向ける。狙いを定め、柄の底にむかってハンマーを強く振り下ろした。
カキィンと音を立てて欠けたメタルを手に取り、珂波汰のメタルであるピアスに近づけた。
那由汰「…あ、光ってる」
珂波汰「え?マジ?」
『質がいいメタルは他のメタルと共振して、光り出すんだ。彫金していない段階で淡く光っているなら、いい石の証拠だな』
那由汰「これ、トラップ反応起きないの?」
『自然的な現象だから起きないよ。あれはDNAをメタルに組み込ませておきる幻影からの反復だし』
淡く光った部分を布に包んでアタッシュケースに戻し、その他はゴミ箱に捨てる。
那由汰「え?それ捨てるの?」
『あぁ、持ってても意味ないからな』
珂波汰「意味ないって、ファントメタルだろ?」
『核をとったから意味ないんだよ』
那由汰「かく?」
『野菜で言う一番栄養がつまっている部分のこと。つまりファントメタルの内、一番純度が高い部分を言うんだ』
アボカドの種みたいに、メタルにも一番輝く部位が存在する。
それを取り出してしまうと、他のものは全部ただの石になってしまう。
ParadoxLiveで使用するアクセサリーなんかは、その中核となる部分を集めて生成し、アクセサリーとしての形を保つ。
だから、物によっては高額で取引がなされている。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時