羅刹の幻影は囁く

【9】＿＿悪漢奴等 SIDE ページ11

＿「全く、ケンカしに来たんじゃないんだぞ」
＿「痛ぇんだよ！善兄！」
＿「そーだよ。紗月ちゃんはともかく、可愛い僕の顔が歪んじゃったらどー責任とってくれんの？」
紗月「んだと、ガキ！？」
善「紗月君！玲央君！ちょっとは北斎君を見習いなさい！」




母親の様に２人の子供に説教をする男、雅邦 善。そして怒鳴られる伊藤紗月と円山玲央の２人はブスッと顔をしかめる。




＿「紗月、玲央、可愛い。よしよし」
玲央「えへへ〜北斎は優しいな〜」




かなりの長身を持つ男、征木北斎にすり寄る玲央。
それに対して紗月は「甘やかすなよ！」と怒鳴る。



＿「紗月、善〜あんまりハシャギすぎるなや」




騒がしくする２人にそう声をかけるのは、４人が属するチーム、悪漢奴等のリーダーである翠石依織。



紗月「け、けどよ、アニキ」
善「し、しかし若」

依織「けどよも、しかしもあらへん。開会式前にあんま騒いだら、他の客さんめーわくやろ？玲央も、あんまりからかったらアカンで。今日は、あくまで開会式なんやからな」

玲央「はーい」



愛嬌よく返事をする玲央の頭をなでる依織。ふと、前方の方で見知った声に気付く。






女子アナ「すいませ〜ん、Paradox Liveについてインタビューを」
『他当たってください』
女子アナ「すぐ終わりますからー！」
『いや、急いでるんで』






インタビューに巻き込まれる女の姿を見て、一瞬目が点になったが、すぐにニヤッと笑って、そちらに歩き出す。




善「わ、若？」
依織「いやーおもろい子おったから絡んでくる〜」
善「若！？さっき仰っていることが…！」





自ら騒ぎのもとへ向かっていく依織を止めるすべもなく善はただ慌てる。

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