48話 ページ10
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俺は兎に角全速力で走っていた。
数分前、Aにかけた電話。
そこから聞こえてきたのは俺の名を呼ぶAの震えた声だった。
何があったのかは判らない。
だが、今探偵社にいないと云うこと、そしてAの震えた声。それで理解したのはAが苦しんでいると云うことだ。
見えてきた噴水。その近くで蹲っている女が1人。まずは無事そうで一安心したところで、彼女に近づき名を呼ぶ。
Aはゆっくりと此方に顔を上げた。
青い瞳からポツポツと雨の雫のような涙が流れている。
『中也、さん』
「何があった?」
俺はAと同じ視線になるよう跼みこみそう問う。
『私、……私ッ』と、手で顔を覆って泣き出したAを見てられなくてその細い肩を抱き寄せた。
「落ち着いてからでいい。な?」
こくこく、と頷いたAの頭を撫でながらAが落ち着くまで暫く抱きしめたていた。
『ずっ。……すみません中也さん。落ち着きました』
それから数分後にAは俺の肩から顔を上げた。少し惜しい気もしたが話も出来ないのでAを離す。
目と鼻が赤い。そんな顔も可愛いなんて思っちまう俺はもう重症である。何がとは云わないが。
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時