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42話 ページ4

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Aは何が起こったのかわからなかった。
気づいた時には体はソファーに沈んでおり、視界には天井とそして___太宰がいた。



『太宰、さん?』

「可笑しいな。君からあの蛞蝓の匂いがする」


____蛞蝓?



太宰の云うよくわからない単語でAは更に頭が混乱する。何故このような状態になっているのかもわからずAは暫く硬直していた。



「A。今日、中也に会ったのかい?」



混乱した頭が拾った質問にA首を縦に動かした。その時、ふと頭によぎったのは与謝野の「太宰には内緒にしとく」の言葉。




『あの、太宰さん。退いてください……』




ソファーに押しつけられた手首が痛みを感じる。
今迄に無いくらい強く握られている手。
_____いつもの太宰さんではないみたい。




「君は悪い子だね。私に内緒で他の男と会っていたのかい?しかもよりによって中也なんかと。」




Aからは前髪に隠れた太宰の表情は見えなかったがいつもと違う低い声に少し恐怖感が芽生える。





『太宰さん?どうしたんですか?
いつもと違っ___』





いつもと違う、そう云おうとした言葉は太宰によって塞がれた。
_____何故?____わからない。
_____どうして?____わからない。





Aの唇は太宰によって塞がれている。
掌に力が入った。混乱する頭は完全にAの思考を停止させている。




『んっ。……んんっ』



Aの口内に入ってきた太宰の舌。
呼吸もままならない深い口付けにAの瞳からは涙が滲み始める。



思考を停止していたのはAだけではない。太宰も同様に思考を止めていた。
太宰を襲った醜い嫉妬の情が彼の頭を支配していたからだ。




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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時

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