63話 ページ26
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砂埃を撒き散らしながら辺りが静かになった。
その場に立っていたのは中也と太宰。そしてAだった。
太宰と中也は上にいるAを見上げる。
Aは二人と目が合うと心配そうな瞳を向けた。だが、二人は両手を広げてAに同時に云う。
「「おいで/来いよ」」
そして、二人はお互いに睨み合う。
なんと見慣れた懐かしい光景だろうか。
Aはくすりと笑った後二人の元へと飛び降りた。ふわりと舞い降りる美しいAを太宰と中也はしっかりとキャッチして二人して地面に尻をつく。
「まるで羽のように舞い降りたねA」
「は?何云ってやがる糞太宰。羽じゃなくて花びらみたいだろうが。」
『どっちでもいいよそんな事。
本当可笑しいわ、治と中也は。』
そんな事で言い争いになる二人にAはまた笑う。その笑顔を見て二人は喧嘩する気にもなれずAを見つめていた。
二人の視線を感じてAは笑うのをやめて『どうしたの?治、中也。』と問いかける。
「本当に記憶が戻ったんだね」
「俺達をそう呼ぶって事はそうだろうよ」
優しい表情でそう云った二人に微笑み返したAは二人の手を片方ずつ握る。
『うん、思い出したよ。
嬉しかったこと、楽しかったこと。
そんな大事な記憶を私は忘れてしまっていた。でも、二人のおかげで私は思い出すことが出来た。本当にありがとう』
Aは花のような笑顔で笑った。
その笑顔に二人の心臓は矢に打たれたようにドキリと跳ね、太宰は右手で顔を覆い、中也は帽子を深く被った。二人は何かに耐えているのだ。そんな二人を見てきょとんと首を傾げるAだった。
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時