AddictioN -yellow- (ページ5)

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しばらく外を眺めてた

現実を忘れたくて、携帯もいじらずに

ただただ外を見つめる

ドアの開く音がするとまた爽やか店員さんの声が聞こえてきた

雅「にのちゃんおはよ」

？「アイスコーヒーね」

雅「ラージね」

しっかり聞き取ってしまった会話から懐かしく思った

そういえば貴方も、そんな呼ばれ方してたね

今でも思い出すなんて、おかしいのかな

自分に呆れて苦笑しながらも、同じあだ名で呼ばれてるどこかの誰かさんの顔が妙に気になってしまって

思わず振り返る

時間が、止まった気がした

夢かと思った

でも貴方が落としたカップが地面に水たまりを作って

周囲に氷がばら撒かれた音を聞いて

時間は過ぎているんだと感じる

変わらない、その姿

ビー玉みたいな目と子犬みたいな口元

スッとした鼻筋に少し気だるそうな背中

その全てを、まだはっきり覚えてる

爽やか店員さんから新しいカップを受け取った貴方は

ゆっくりと、近づいてきて

そっと隣の席に腰を下ろした

鼻にかかる懐かしい香りに、胸が高鳴る

和「あの、」

「二宮くん…だよね？」

変わらない姿に息が苦しくなる

辛いのに、嬉しい

「久しぶり」

和「･･･久しぶり」

「元気だった？」

和「うん･･･そっちは？」

「まあまあかな」

本当に呼吸が止まりそうになるから

うまく目が合わせられない

たまに合う視線が、もどかしい

.

その後も少しだけ話を続けた

懐かしくて、苦しくて、楽しくて。

だけど多分、心のどこかでこの瞬間がずっと続けばいいのにって思ってる自分もいた

それくらい、心地よかった

ううん、それどころじゃない。

本当は泣きたくなるくらい、再会が嬉しかった

だけど私はこの時、気づかないフリをした

自分の気持ちには目を瞑って

ただただ同級生との再会として、この瞬間を自分に刻んだ

お互いにお互いの話を少しだけして驚いた

本当に、先生をやっていたから。

向いてるとは思ってた

だけど、もともと学校が好き！ってタイプじゃなかったし

一時期はサボリ魔って呼ばれてたのに

そんな貴方が、まさかそれを選ぶなんて。

貴方はもう覚えてないかもしれない

自分の独り言を思い出した