22 ページ22
駅についても彼の悲しい目は変わらなかった
慧人「今日はありがとう、ゆっくり話ができてよかったよ」
「ううん、こちらこそ」
慧人「また連絡するね」
「うん･･･また明日」
慧人「気を付けてね」
重い足を何とか動かして家に帰る
その夜はずっと
彼のあの目が頭から離れなかった
悲しそうで
消えてしまいそうで
泣いてしまいそうなあの目
自分のせいでって思うと、苦しかった
今私は何がしたいんだろう
こんな曖昧なままだからきっと人を傷つけて自分を苦しめてる
もし私が、彼を捨ててでも二宮君を選ぶなら･･･？
それはあまりにもリスクが大きすぎる
よく考えれば二宮君との会話はいつも他愛ないもので
今何してるとか、どういうものに興味があるって話はしても
今相手がいるとか、どんな人に囲まれて過ごしてるとか全然知らない
もし二宮君に今手放したくない人がいるとしたら？
きっと私はもうこの先ずっと独りになる
それはさすがに嫌だ
そんな理由？って思われるかもしれないけど
もう私も30手前で。
周りは結婚・出産ラッシュを迎えてるのに私はこんな高校生みたいな悩みを抱えてて
昔から結婚願望だけはあった私にとって
この先ずっと独りで生きていく覚悟を決める勇気もなければ
切り替えて新しい恋を！ってできるわけもない。
ならこのまま彼といる･･･？
きっと彼は今までみたいに私のすべてを受け止めてくれる
どんなに私が酷いことをしても
傷つけても
彼は私にほとんど怒らなかった
どうして彼がずっと側にいるのに
彼にまっすぐにならずに二宮君への想いにすがってるのか自分でも謎なほど
彼はいい人だよ
私が仕事で大きなミスをしたとき
仕事中はたくさん怒られた
それは私の上司だから。
だけど仕事が終わると彼はずっと私を慰めてくれた
プライベートではそのことに対して絶対に怒らなかった
ほら、こんなに素敵なところが出てくるの
しっかりすんだよ、私。
そうだよ、もう会わなきゃいいんだ
彼と出会ってから二宮君に再会するまでは一応順調だった
だったらその頃に戻ればいいの
あのカフェに行ったら二宮君に会える
なら行かなければいい
そうすれば会わなくて済むの
今までの生活に、戻そう、全部。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風和?? | 作成日時：2019年4月30日 0時
