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高校3年生の夏休み。
両親が突然「海外にバカンスに行こう!」とか言い出して、ハワイに一週間だけ旅行に行くことになった。
私は受験生で、泉もリーダーの代行をやっているとかどうとかで、会うのは一ヶ月ぶりだった。
「久しぶりだねぇ。A。」
「って言っても、一ヶ月ぶりだけどね。
久しぶり。泉。」
しかし、流石は兄妹。
久しぶり会おうが、何も変わらない挨拶でお互い接した。
一週間はいっぱい遊んで、話して、久しぶりに家族団らんで楽しんだ。
そしてハワイで過ごす最後の夜。
両親が何故か私とママの部屋に入ってから出てこないので、仕方なく私は泉とパパの部屋で寝ることになった。
お風呂に入って、髪を乾かし、明日は早起きしなければ行けないため早めに布団に入った。
「おやすみー泉。」
「おやすみぃ。」
泉の返事を聞いてから、電気スタンドの電気を消した。
何だかこんなことをしていると小学生の頃を思い出して、思わずクスッと笑ってしまいそうだったけど。そこはグッと我慢して布団に潜った。
黙っていると時計の針の音だけが大きく聞こえた。
だんだん目も慣れてきて辺りが少しずつ見えてくる。
ゴロンと寝返りを打つと、向かいのベッドに泉の寝顔があった。
何となくじっと見ていると、何となく感なんだけど、泉が起きてるように思えた。
「起きてる?」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で泉に聞く。
すると泉の目がパチリと開いた。
「気づいてたのぉ?」
「まぁ、双子だからねー。
何となく分かった。」
「なにそれ。
チョーうざい。」
「アハハ、泉の"チョーうざい"久しぶりに聞いたな。」
「ちょっと、からかってる訳?」
そう言いながら、泉は自分の枕を私に投げる。
私はそれをスラリとかわして、ドヤ顔をすると、「何なの?一体?」と昔と変わらない調子で私を楽しませる。
「いや、なんかこんなことするのも久しぶりだなと思って。」
泉に枕を投げ返し、もう一度布団に潜る。
「そうだねぇ。」
泉も布団に潜って何処か懐かしげに答えた。
昔は昔。今は今。
でも"今"もいつかは"昔"になる。
私たちは"これから先の今"もこんな関係でいられるのかな?
ふと思ったので「ねぇ、泉。」と私は泉に話し始めた。
「私たち高校卒業したらどうしてるのかな?」
来年には私たちだって高校卒業という一つの節目を迎える。
泉は何処まで私を置いていくんだろうか?
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作者名:ほりでい | 作成日時:2016年8月24日 22時