検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:27,930 hit

ページ3

Aside



昔から私は双子の兄より何かと器用だ。




バレエだって、そろばんだって習い始めたのは同じなのに、いつも一番は私。


爪二つの私たち。



双子で比べられることを私たちすごく嫌った。



でも負けたくはなかった。



だから泉は努力して私を追いかけてきた。



でも泉が努力すると、怖くなって私も努力した。



だから泉が私を抜いて一番になったことは一度もなかった。




持ちつ持たれつ生きてきた私たち。


私の後を追いかけるように泉がついてくるのが、私たちの"定位置"だと思ってた。







...だけど違ったんだ。




9歳ぐらいの時、泉は突然キッズモデルを始めた。



「Aもやれば?」といつもの調子で聞いてきた泉。



今まで何もかも一緒にやり始めたのに、突然泉だけが先に始めたことに腹が立ち「勝手にすれば?」ときつく言ってしまった。





この時泉は




「ふーん。




あんたのこと見損なった。」





と言われたこの一言をを今でもしっかり覚えている。




それから私たちは同じ時間を共有しなくなった。



泉は撮影やら何やらで、家にいないことが増えたし。



私はと言うと宛もなくただただ両親が将来役立つと言う"勉強"をひたすらやっていた。



...




そんなこんなで月日は過ぎ、私は全寮制の都内でもトップクラスの高校に進学。


泉は新しい可能性を広げるために私立夢ノ咲学院のアイドル科に進学した。


この頃になると、お互い精神的にも大人になっていて、いがみ合うこともなく仲良くやっていた。



でもなんとなくお互いやっていることには触れなかった。


それは小さい時にアレが原因だとは思うが、二つ程理由があった。


一つ目は、泉が芸能界で双子である事を言っていなかったこと。


何故だかは分からないけど、おそらく私を余りスキャンダルや何やらに巻き込まない為の泉なりの配慮ではないかと私は考えている。



二つ目は、そもそも私が瀬名泉の双子の妹である事がバレていない。


これは私でも"奇跡"だと思う。


奇跡が度重なり、"大きな奇跡"となった。


私は小中と真面目なガリ勉を演じてきた為か、周りには"そういう子"が自然と集まった。


まぁ、それは今でも言えているのだけど、とにかく周りにいる友達が芸能界に余り興味がないため、バレたことは無かった。


言われても"似ているね"という程度ですんできた。



私たちはお互いいつまでもこの関係だと思っていた。


社会的にお互いの関係を消して生きていくと思ってた。

よ→←っ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ほりでい | 作成日時:2016年8月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。